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『陰陽師 酔月ノ巻』(夢枕獏)を読んで
長らく続いているシリーズ。文庫ではこれが12作目となるようです。
ご存知の方も多いと思いますが、安倍晴明と源博雅が登場するシリーズです。安倍晴明は言わずと知れた平安時代の陰陽師。源博雅は貴族であり、楽人でもあります。この二人がこの世のものならざる怪事件を解決していく短編集のようなものです。今回は9編。いつもより蘆屋道満の出番が多いように感じました。
晴明の屋敷での季節の描写が、静かで心地よく作品世界へと誘ってくれます。
「ゆこう」「ゆこう」のお決まりの展開は晴明と博雅の揺るぎない関係性が感じられます。
そして起きている怪異は恐ろしくとも、そこにあるのは哀しみ歓びであって、そのどれもが切ないのです。
どきどきはらはらする展開ではなく、今作もしっとりと物語を楽しめました。




