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『もういちど生まれる』(朝井リョウ)を読んで
表題作を含む短編集。二十歳前後の男女五人をそれぞれの視点で描いています。そして彼らはどこかで繋がっていて、同じ時間を生きています。けれども当然見えている景色は異なっていて、同じ出来事や人物も角度が変われば様々な形に変わります。
子供でも大人でも悩みや迷いは付きまとうのかもしれませんが、ここに描かれているのは確かに二十歳前後の男女の心で、同じ立場になどなったことがないのに、その気持ちが痛いほど伝わってきます。
誰もがそこから抜け出そうと、光に近づこうともがく姿は、確かに若者の煌めきだと感じます。私からしてみればとうに通り過ぎた道ですが、思わず眉根を寄せて読んでいたほどにきりきりと胸が痛みました。
キンキンに冷えたミネラルウォーターを一気飲みしたような感じがする小説でした。




