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『桜太の不思議の森』(香月日輪)を読んで
どのくらいか昔のどこかの森の中にある黒沼村。そこにはたくさんの神様がいて、たくさんの不思議があります。中学生の桜太はそんな村が大好きです。大人も子供も神様や不思議を当然のこととして受け入れ、敬い、共に生活しています。ファンタジーというほど不思議の正体は確かなものではなく、アニミズムの不思議エピソードがいくつものショートストーリーで綴られます。
全体を通しての大きなストーリーは緩やかに流れるものの、事件や問題などのようなこれといった盛り上がりがあるわけではありません。ただ淡々と日々は移ろいでいきます。子供達が喧嘩したり、怪我をしたりしながら、自然と調和し生活するこのお話はとても心地よいものです。読みながら黒沼村を身近に感じられます。自分も黒沼村の日常を体験しているかのような、穏やかで幸せな感覚を味わえました。




