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『東雲の途』(あさのあつこ)を読んで
時代小説「弥勒」シリーズの4作目。表立ってシリーズとしていないのは独立した作品だから、とのことらしいのですが、私としては1作目の「弥勒の月」から読まなくてはならないと言いたいです。事件は確かに1作ごとですが、ベースになる部分は初めから追ってほしいです。闇の過去を背負う遠野屋、人に興味がなく事件にだけ惹かれる木暮信次郎、老練の岡っ引き伊佐治。この3人の互いを好いているのか嫌っているのか判然としない関係は作品を追うごとに読者の見方を変えていく気がします。
今回の事件は、ある死体から意外な物が見付かることから動き始めます。1作目からの大きな流れも動き始める作品です。
今作に限ったことでもないのですが、心情の捉え方が繊細で、冬の朝の空気のように鋭く清く美しい印象を受けます。
読んでいて苦しい。でも苦しみながら読むのが正しいような気持ちにさえなります。
このシリーズを読み終わるたびに思います。生きるのは苦しくて美しいーーと。




