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『夜の床屋』(沢村浩輔)を読んで
これはストーリーよりも感受性が翻弄されることを楽しむ小説ではないでしょうか。
私は現実に潜むちょっとした不思議が好きです。この作品もそのようなものだと思い、手に取りました。ところが、その期待は裏切られ、かと思うと、いやそうでもないか、と思い、そして──。
先入観を持たずに読むことがこの小説を楽しむポイントです。なので、敢えてストーリーには触れません。でも、もし私と同じような好みの方がいらっしゃるなら、ぜひお薦めしたい小説です。
もしかすると、途中で想像していたものと違うからという理由で読むことをやめてしまおうと思うかもしれません。でも、そんな方にこそ、騙されたと思って最後まで読んでほしい! きっと溜め息が漏れます。
タイトルはもっと違うものの方がよかったのではないかとも思います。いや、それさえも読者を翻弄する手段の一つだったのかもしれません。
連作短編集の形式をとっている小説ですが、最後まで通して読んで初めてこの世界が完成します。
見方を変えれば物語は全く違った様相を現します。
現実の中に潜む少しの奇妙な世界を望む方はぜひ。




