『芸人交換日記~イエローハーツの物語~』(鈴木おさむ)を読んで
どうせ放送作家が身近な題材で書いてみただけでしょ? なんて軽い気持ちで読んだら大怪我します。真っ赤な熱い血が流れ出ます。……まあ、これは自分のことなんですけれども。
イエローハーツは架空のお笑いコンビです。架空だけど、きっと現実には数えきれないほどの「イエローハーツ」がいるのだと思います。
売れないまま30歳を迎えたコンビ。当然、悩み、迷い、苦しんでいます。けれどもそこはさすが芸人さん、暗くはなりません。でも、明るさはその対比となるものを浮かび上がらせます。
芸歴ばかり立派な無名コンビのストーリーは、おそらく想像の範囲内です。でも、一度でも誰かと一緒に夢を追いかけたことのある人なら感涙必至です。
一人で追う夢と誰かと共に追う夢は違うと思います。家族でも友達でもない、仲間だからこそ向けられる感情。それって、独特のものだと思います。その感じがとてもよく表れています。
これは芸人さんの物語ですが、生活を犠牲にしてまでバンドや芝居やスポーツで、なにかを成し遂げようとしたことがあれば、息が詰まるほどの熱い塊を抱えながら読むことになるでしょう。そんな経験がなくても、きっと、この本を読み終わった頃には誰かと夢を見たくなるはずです。
日記なので文体は軽いし、さらりと読み終えてしまいます。でも、これを読んでしまったら、オードリー若林さんの解説まで泣けてしまいます。




