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『キフシャム国の冒険』(鴻上尚史)を読んで

脚本です。脚本で読書感想文って……! まあ、珍しくていいでしょ?

とはいうものの、どのくらいの説明が必要なのか悩みますね。

まず、鴻上さんはどのくらいの知名度なのでしょう? 「虚構の劇団」主宰者というよりは、かつての「第三舞台」主催者といえば「ああ!」って思う人も多いかと。この脚本は「KOKAMI@network」で上演したものです。


震災で負った心の傷から立ち直っていくストーリーです。ありがちで偽善だと思うかもしれないけれど、「具体的に同じ立場に立たない限り、リアルにはわからない」(ごあいさつより抜粋)演劇で「現実から逃げ出し、そして休息し、安心し、勇気を感じ、決意し、もう一度現実と向き合うためのエネルギーをもらう」(あとがきにかえてより抜粋)というスタンスで書かれた脚本です。

だから、ラストで感動があるものの、それまでは馬鹿馬鹿しいほどの明るさです。くだらないくらいのノリです。台詞とト書きだけでも舞台がエネルギーにあふれていただろうことが伝わってきます。


芝居ありきの脚本なので、作品としては十分ではないかもしれません。芝居の一部でしかないのですから。けれど、小説にはない簡潔さは想像力をものすごく刺激します。細かい描写がないのですから当然です。

繰り返しになりますが、脚本は完成作品ではないと思っています。芝居として上演されたものが作品としての完成形だと思います。それを納得したうえで、脚本というジャンルも読んでみると面白いものです。

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