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『楽園のカンヴァス』(原田マハ)を読んで

山本周五郎賞受賞の美術ミステリー。

ルソーの「夢」に酷似した絵画を所蔵するコレクターからの招待で、真贋を競う二人の専門家(ルソー研究者)。でも、その判定に至るまでの方法が変わっていて、7日間にわたって、ある物語を読まされる。

私はルソーの絵に何にも魅力を感じないし、真贋を調べるための科学的検証がされるでもない展開に、初めはこの小説ハズレかな、と思ってしまいました。

でも、すぐにその変わった検証方法に引き込まれていきます。二人の研究者と共に、取って付けたような物語を読まされている感覚だったのに、いつの間にかその物語がとても重要なものに思えてきます。

命を狙われたり、絵画が盗まれたりという映画のようなスリルはなく、理論だけで進んでいくような検証ですが、それがかえって専門分野ミステリーを身近な作品にしてくれているように感じます。

重々しくはないのに、「本を読んだ」と思える一作でした。満足です。

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