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『パドルの子』(虻川枕)を読んで

第6回ポプラ社小説新人賞受賞作。今年が第9回だったので、3年前の作品ですね。

登場人物たちが中学二年生なので、児童文学とライト文芸の中間みたいな印象を受けました。その世代で読んだら響くものがあるんじゃないかなって感じです。残念ながら私にはこの瑞々しさが最後まで馴染みませんでした。年齢っていうよりも好みの問題かなって気がします。べ、べつに感受性鈍ったのを誤魔化してるわけじゃないんだからねっ!


まあ、真面目な話、ここでもよく言っていますけど、文体との相性ってありますよね。私、マンガでも絵が受け付けられないとどんな面白そうな内容でも読む気にならないんですよ。それと同じことが小説にもありましてね。でも小説の場合はマンガみたいに一目で判断できませんから、それを見極められる頃にはそこそこ物語が進んじゃっているんですよね。そうなると、途中でやめるという選択肢はないんですよ。どうにかこうにか読了します。

幸い、この小説はそこまでではありませんでした。なんか読みにくいなぁってくらい。


で、このお話。

青春小説の類ではあるのですが、少し不思議なお話です。

主人公はぼっちの少年、水野。少し前まで三輪という友達がいたけれど、彼が転校してからは誰も友達がいません。そんな彼が居場所を求めてたどり着いたのが屋上。けれどもそこには先客がいて。それは、水泳部のエースで美少女の水原。なんと彼女は屋上に広がる大きな水たまりで泳いでいました。とはいえ、ただの水たまりではなく、深い深い水たまり。水原によれば、水たまりに潜ることをパドルといい、パドルをすると世界のなにかを一つだけ変えられるといいます。ただし、一日一回だけ。この校舎は取り壊しが決まっているので、パドルができる期限もそれまでということになります。

一緒にパドルをするようになる水野。彼らは世界のなにを変えていくのか……。


初めから私たちの知る現実とはちょっと違うところがある世界です。最初に電話のことが「伝話」となっていた時には誤字かと思いました(たまにですけど商業本でも誤字ありますよね)。けど、この世界では電話ではなくて伝話でいいのです。雨も空から降ってこないし。


私はすんなり読み進めたれませんでしたが、文章は平易なので、多くの方にとっては読みやすいかと思います。思春期の雰囲気に合った文章です。

読みにくさを感じていた私でも、終盤はおもしろいと感じました。気持ちいいくらいです。ちょっと胸がチクリと痛かったりもして。伏線回収とタイトル回収がね、軽やかで爽やかです。

好みの文体が定まる以前の、中学生くらいで読んでいたら好きだったかもな、って気がします。その小説に出会う時期って大事。

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