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『少女は鳥籠で眠らない』(織守きょうや)を読んで

『記憶屋』しか読んだことがなかったので、ホラー書く人というくらいの認識だったのですが、この小説はリーガル ミステリーとのこと。作者さん、弁護士さんだったんですね。


これは私の偏見もあると思いますが、小説に限らず日常会話でも頭のいい人の言葉はしっかりしていることが多いと感じます。知性ってそういうところに出ますもんね。けど、特に頭のよくもない私にしてみると、そういう文章で書かれたものはちょっと気力や労力が必要だったりします。だからといって、苦手ということでもないし、それによって好き嫌いが分かれるものでもないのですが。要は内容とのバランスですしね。

ただ、砕けた文章……というかライトな読み心地の文章を書けるのに書かないのと、頭が良すぎてライトにしているつもりがなっていないのとでは大きな違いがあると思います。


その点、織守きょうやさんはものすごくさらりとした文章なんですよ。だから『記憶屋』を読んだ時もまさか弁護士さんだとは思いませんでした。

この『少女は鳥籠で眠らない』もとても読みやすいです。ライト文芸あたりの読みやすさです。

言葉や文章のレベル(語弊がある表現ですが、しっくりくる言葉が思いつきませんでした)を使い分けられるのは、感動します。わかるかなあ、この感じ。


で、そういう文体なので、リーガル ミステリーといってもけして小難しいこともなく。さあ読むぞ!と構えなくてもすっと入れます。法廷ものじゃないのも読みやすかったです。

主人公は若手弁護士の木村。先輩にあたる高塚という有能な中堅弁護士も重要な役どころです。この二人は特にクセもなく、視点を合わせやすかったです。

それに対し、依頼者や関係者は結構個性的。そのメリハリが私にはちょうどよかったです。退屈するほどリアルでもなく、フィクションだと強く意識してしまうほど現実離れもしていない。身の回りにはいないけど、どこかにはいる人たち、起こっているだろう出来事、と感じられました。


あと、章タイトルがちょっといいです。

読み終えてから見直すと、ああなるほどとなるのも気持ちいい。

よい小説は一文で説明できるといいますが、それに近いものなのかもしれません。


四つの案件の話なのですが、ここではその内容に触れなかったので、最後に章タイトルを並べておきます。

たぶん章タイトルだけで、この小説の文体と雰囲気が伝わると思います。

文体は親しみやすいのに、けして優しいだけのハッピーエンドじゃないのも気に入りました。


「黒野葉月は鳥籠で眠らない」


「石田克志は暁に怯えない」


「三橋春人は花束を捨てない」


「小田切惣太は永遠を誓わない」




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