『営繕かるかや怪異譚 その弐』(小野不由美)を読んで
前作同様、営繕屋の尾端がかかわる怪異の短編集。
とはいえ、尾端が語り手や視点者なのではなく、最後に登場して「ああ、これはですね……」となる役割です。なので、一編ごとに主人公が変わっていきます。
尾端は物静かな印象の若い男性で、別に霊障を扱う仕事をしているわけではありません。ただの営繕屋さんです。家を修理する業者さんですね。
(そういえば、子供の頃、近所に〇〇エーゼンというちょっと大きな工務店があったのですが、その社名のエーゼンって営繕のことだったんだな、とさっき気づきました。カタカナなので外国語か何かだと思っていました。どうでもいいですね。すみません。個人的に新発見!て気分になったので、つい……)
尾端は本当にただの営繕屋さんなので、お祓いとかするわけじゃないんですね。けど、怪異にかかわることが多く、だからまたそれで妙なことがあると声がかかるという……。で、呼び出されて行ってみれば、「ああ、これですね」となるわけで。で、「ここを直しておけば平気でしょう」となるわけですね。
前作は2014年だったようです。発売から間を置かずして読んだのですが、もうそんなに経っていたとは。内容は覚えていないのですが、読んだ際の感情はまだ覚えています。怖いけど、好きな雰囲気だったんですよ。
その古い印象と比べると、今作はそこまで怖くはありませんでした。そのおかげで、古い城下町の古い家で起こる奇怪な出来事と雰囲気にじっくり浸ることができました。怖いと恐怖に気を取られて、読み進めることに集中しちゃうんですよね。それはそれで楽しいのですが、古い町と家がとてもいい感じなので、そのあたりも味わいたかったのです。なので、今作はちょうどいい恐怖度で……って油断してたら、すっごい怖いのがありましたけどね!!
そうはいっても、どれも後味が悪い話ではありません。読んでいる間は怖いですが、ちゃんと解決(?)するので、眠れなくなることはありませんでした。
そして、前作同様、表紙は漆原友紀さん。小説の雰囲気ととても合っているし、読み終わってからじっくり眺めるのも楽しい表紙です。
発売予定を知って、スケジュール帳に書いておいたくらい楽しみにしていた本です。期待通りでした。
ところで。
小野不由美さんといえば、十二国記の新作が出ますね。
これまでの内容を完全に忘れているので、読み直したいのですが、あれだけの分量を読む勇気がまだ出ません。さっきも本棚の前でただ背表紙を眺めて終わってしまいました。
でも私の記憶力はかなり悪いので、やっぱり読み直さないと新作についていけないに決まっています。どこかで一気に読もうと思います。




