『good old boys』(本多孝好)を読んで
小学生サッカーチームの牧原スワンズは超弱小チーム。特に四年生チームは一勝もしたことがないほど。そもそも監督やコーチからして強く育てようという姿勢がありません。けどそれはやる気がないということではなく、楽しむことを目的としているからなんですね。
そうは言っても勝てなくて楽しめないだろうと思いきや、試合終了時にはさすがにがっかりした様子を見せる子供たちも、コートを出るころにはもう笑ってふざけて遊び始めている有り様。子猿という表現が出てきますが、まさにそんな雰囲気がよく出ています。
話は、その四年生チーム8人のお父さんたち。それぞれの一人称一視点で語られる8章とプロローグ、エピローグから成ります。
ママ友よりも少し距離があるパパ友。友ですらない。顔見知りに毛が生えた程度で、互いの職業も家庭の事情もほとんど知らずに付き合っています。チームの指導法についても、楽しければいいと思う人や、これでは生温いと感じる人も。でも口にも態度にも出さないんですね。こういうところでもお父さんたちの人柄が見えます。
そして誰もが何かを抱えています。息子との関係だったり、妻との関係だったり、ほかにも人それぞれに。
ただそれはシリアスでありながらも重くはなく、各章の終わりには小さな灯火が見えるような優しい話です。この辺の雰囲気はこの作者さん安定の持ち味だなぁと感じます。
そうそう、『MISSING』発売当時から好きで読んでいるんですよ。いくつか取りこぼしはあるものの、結構追いかけていると思います。最近ですと『dele』の作者さんというとピンときますかね?
これね〜、やっぱりよかったです。
読む本が偏っているのか、お父さん視点の物語ってあまり読んだことがない気がするんですけど、なんかいいですね。子猿みたいな子供たちはかわいいし、どこか迷いや弱さのあるお父さんは愛おしくなります。
語り口は淡々と静かな方だと思います。感情を爆発されるようなシーンはないですね。でもグッとくるシーンはいくつもありました。最後の試合なんてもう……。
あー、でも、これどうなんだろうな……。
読まれた方にだけわかる言い方をしますと、ハルカの章で、ふえ?いきなりそういうジャンルを入れてきちゃう?と戸惑いました。けど、それは私がそのことを特別なことだと思っているのかもしれません。なんていうか、ファンタジックとでも言いましょうか……。
プロローグからして、その気配は感じていたはずなのに、そう見えて実はそうじゃないんだろうと思っていました。
すみません、未読の方にとっては、なんのこっちゃ、ですよね。うん、気にしないでください。
ほんのりあたたかいいいお話でした。




