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『本と鍵の季節』(米澤穂信)を読んで

図書委員の男子高校生二人が紐解く、本と鍵にまつわるミステリーの連作短編集。

本と鍵だなんて、アイテムだけでわくわくします。

堀川次郎と松倉詩門は図書委員になって知り合ったせいか、互いに適度な距離感をもって接している印象です。気が合うけど、けして詮索しない。相手が自ら言わないのだから聞くべきではないというスタンスを保っています。現実では自ら言えないけど聞いてほしい場合とかもあると思いますが、堀川と松倉の場合はこの距離感がちょうどいいみたいです。互いに心地よい相手と思っていることが伝わってきます。

二人とも頭が切れる点では似ているけど、堀川はほんわか優しい雰囲気なのに対して、松倉は目立つかっこよさがありつつシニカルな物言いをします。


堀川の視点で話が進むので、やはり落ち着きのある、適度に距離感を保った空気が満ちていました。淡々と静かに進む感じ。そしてそこはかとなく漂う不安感。なかなか独特の空気です。

ああ、そうだ。その空気はちょうど図書館のような。堀川と松倉が図書委員をしている図書室みたいに、人の出入りがほとんどない、静かで影のある、少しひんやりした空気。


日常と事件の狭間にあるような謎ばかりなので、どの謎も解けた後でもすっきりしないというか、わだかまりというか、澱のようなものが残りました。それがいいです。

その感覚は終わりに向かうにつれ大きくなっていき、最終話はなんとも言えない後味が残ります。

続編もあるとかないとか。このコンビはとても魅力的ですが、このラストはこのままであってほしいとも思います。


謎自体はそれほど込み入っているわけではなく、かといって、あっさりわかってしまうほどでもない、すっと染み込んでくるような濃度の謎でした。「えっ、そうだったの!?」というよりは「ああ、やっぱそうだよね」といったところ。

正直、はじめの方は若干の物足りなさを感じましたが、話が進むにつれ、この微かな痛みを内包した静けさが気に入ってきました。この二人の空気からすると、このくらいの謎レベルがお話全体の雰囲気を壊さなくていいんだなとしっくりきました。たぶん謎は簡単すぎても難しすぎても印象が変わってしまいます。読み手の感情が謎解きに引き摺られすぎずに感情を動かされる、絶妙な難易度でした。

ラスト、好きです。



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