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『きみの世界に、青が鳴る』(河野裕)を読んで

階段島シリーズ6作目にして最終巻。

昨日発売だったので早速買って読みました。

シリーズものなので、前作までを未読の方には これから書く感想(というか読書メモ?)はわけわからないと思います。そしてこれから読む予定の方もいらっしゃるでしょうから、あからさまなネタバレは書きにくく……。つまり、誰が読んでもわけわからないものになる気がします。


まあ個人的な読書記録みたいなものですし……と開き直りたいところなのですが、困ったことに、過去に読んだ本の内容を思い出そうとして自分の書いたものを読み返してもちっとも思い出せないんですね。まったくなんのために書いているのかわかりません。

それなのに覗いてくださってありがとうございます。




このシリーズはストーリーをまとめるのが難しいです。私が説明下手というのを置いておいても難しいと思います。なぜなら、すごく内面の話だからです。全編心理描写だなと感じます。もちろん物語である以上、誰かと誰かが会話して、行動するんですが。私の思う一般的な物語は、登場人物の言動からその心理を感じるものなんですね。でもこれは逆のような印象を受けます。ずっと誰かの独白で、ト書きにように情景描写が差し込まれる感じ。あくまでもこれは読んだ時の印象で、実際はちゃんと会話だったりストーリー展開はあるんですが。なんとも不思議な感覚です。


それはこの物語の世界観のせいでもあるかもしれません。

【3作目以降のネタバレあり! 未読の方注意! 】

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自分の一部を捨てたことで、捨てられた自分が階段島で暮らしているという設定は、この物語はすべて精神世界での出来事というわけですよね。

この作者のほかの作品を読んだことがないので、現時点では比較のしようがないのですが、この全編心理描写という印象を与える書き方を意図的にされているのだとしたら、いたく感動します。もしくは、これが階段島シリーズに限ったことでなく、この作者の書き方なのだとしたら、その個性に圧倒されます。


実は正直、私は心理描写を書くのも読むのもそれほど好きではありません。心理を言葉にしないで、情景描写や言動で読者が感じ取れるものが好きです。

ただ、この物語は精神世界が舞台であることもあり、むしろ心理描写が情景描写にもなっているような倒錯した感覚に陥りました。そしてこういう世界観は好みです。


魔女や魔法といったファンタジーめいた設定もこの世界では夢の力ではなく、業のようなものとして扱われているのも面白いです。



もしかしたら、私の楽しみ方はちょっとズレているかもしれません。物語世界をよく理解していないかもしれません。

けど、おもしろかったです。そして、文体がとっても素敵でした。描写が美しいとか表現が巧みだとかそういうことだけではなく、言葉よりは文体が印象的でした。淡々と、透明感があり、鋭いほどに突き刺さる。青春といわれる時代を生きる若者の心そのもののような筆致だと思いました。それはまさにこの物語そのもので。


なにも捨てないまま未来へ進んでいく。

それを目指し模索する最終巻。諦めるとは。諦めないとは。捨てるとは。捨てないとは。

最初から最後まで胸に無数の氷の針を刺されているような読書時間でした。痛々しくて愛しい。


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