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『いつかの人質』(芦沢央)を読んで

サスペンスミステリーです。

物語は様々な人の視点を行ったり来して進むため、誰が主人公ということもありませんが、被害者視点のインパクトがすごかったです。


その被害者というのは、幼い頃に誘拐事件に巻き込まれて失明した愛子。ここまではプロローグで語られます。本編は12年後。愛子は再び何者かによって誘拐されます。同じ人が二度も誘拐されるなんて。当然、12年前の事件との関連が疑われます。

12年前の誘拐事件の加害者の娘、優奈というのも出てきます。夫婦で漫画家をしています。愛子の誘拐と時を同じくして優奈が失踪します。行方を探す夫の礼遠(れおん)。この二人もそれぞれの視点で描かれます。

そのほか関係者の視点でも語られて、多角的に誘拐事件が進んでいきます。


最初に言った通り、愛子視点がすごい。なにしろ誘拐されているわけですからね。痛そうな描写も多々あります。気づくと顔をしかめて読んでいたりしました。

嫌な感じがあちこちにあります。でもこれがすごくて、だからのめり込んでしまいます。先が気になるのももちろんなのですが、そのシーンを目を凝らして見ようとしたり、耳を澄まして聞き取ろうとしたり……そんな気分で話の中に引き込まれていきました。


途中で「これってミスリードで実はこっちなんでしょ?」と気づくのですが、「あれ? やっぱりミスリードって思わせることがミスリード?」とか思ってしまい、早く全容を知りたくなります。


とにかく惹きつけられる一冊でした。たぶん私は芦沢央さんの書き方が好きなのだと思います。文章も内容もけして軽いわけではないのにスッと入ってきます。


ミステリーではありますが、事件の謎そのものよりも人間の内面が描かれているという印象が強いです。

あと、事件は解決しますが、後味がいいとは言い難いので、苦手な方は苦手かもしれません。その胸に残る痛みとか苦味のようなものが私は好きです。

とはいえ、不快な気分だけを残す話ではありません。私は、これは独り立ちの物語だなと感じました。

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