『悪いものが、来ませんように』(芦沢央)を読んで
うわ……すごい……。
主に紗英と奈津子の両視点で描かれるお話なんですが、なんか冒頭からすでに共依存の不穏な空気がぷんぷんします。その表現だけでも読み応えがあるのですが……ああ、だめ。もうこれ以上言えない。ネタバレになっちゃう。もうねぇ、ウェットな感情の溢れる小説が大丈夫な方は読んでみて!って言いたい。
6章とプロローグ、エピローグで構成されるこの作品。5章以降がほんとすごい。
そんなにハードルあげちゃって大丈夫?と思われるかもしれませんが、少なくとも一度は「おお!」と思えるはず。私は一度どころじゃなかったけど。
裏表紙のあらすじにも書いてあるので、これは言っちゃいますが、紗英の夫が殺害されるんですね。そのシーンでピンときたわけですよ。ああ、これって実はこうなんでしょ? ふふん、わかってるもんね〜。ミスリードなんかされないも〜ん。って。ところが、その予想をすることさえミスリードされていたのだと気づいた時の衝撃たるや。
最後まで依存関係には賛成できないままなのですが、それでもその依存関係が深い深い愛情によるものだったと伝わってきて、感動とやるせなさに涙が止まりませんでした。もうエピローグなんて嗚咽が漏れましたからね。まあ私が感動しやすく涙脆いっていうのは大いにありますが、多くの方にとっても深く感じるものがあるんじゃないかと思います。
この作者の小説を読んだのは二作目。8月に読んだ『火のないところに煙は』が最初。そちらはホラーでしたが、今度のはサスペンス。今度のは、といっても、出版されたのは『悪いものが、来ませんように』が先です。
ホラーとサスペンスの二作を読んで、すっかりこの作家が好きになりました。うん、すごい好き。




