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『ボクたちはみんな大人になれなかった』(燃え殻)を読んで

43歳のアートディレクター、ボク。

フェイスブックでかつての恋人を見つけ、思いはそのころへ遡っていきます。

回想は1995年、20代前半だったころのことから。

SNSなんてなかったあのころ、文通で出会った「かおり」との思い出。忘れ得ぬ女性の記憶。当時の文化を感じさせる情景の中で、若者らしい心情や行動が描かれます。それは決して明るく陽気なものではなく、もがいて苦しみつつも幸せを感じている、生々しい「生」。


……しかし。


これは……なんだろうなあ。

ピタリとはまる人ははまるだろうなあという感じ。

で、はまった人には堪らないだろうなあというとこまで想像できる。


たぶん実体験を脚色したものと思われますが、この作者、1973年 横浜生まれなんですね。もう時代背景がドンピシャ(死語)。私が男性だったら身悶えするほど切なくなったかもしれません。


ただ、私は正直、微妙。

共感はできない、でも理解はできる。まあ、あとは好みといったところでしょう。小説としてはおもしろい部類だと思います。

私の好みとしては、このストーリーならばもっと文学テイストで読みたかった。逆にこの文体なら、もっとさらりとしているものが読みたかった。

けど、さっきも言いましたが、はまる人はドはまりすると思います。


ノスタルジーに浸るには最適です。


そして、私自身はピンときませんでしたが、男の人には、特に現在パートナーがいる男性には読んでほしくないと思ってしまいました。だって、絶対に思い出に浸ってしまうもの! まるっきり同じ経験はしていなくても、この時代にこの年頃だった男性なら、共感することばかりだと思います。そして、当時、こんな相手がいたりして、思い出したりして、やっぱり忘れ得ぬ女性だったりしたら……! 心が過去に戻ってしまいそうです。


これは惜しいな〜。読者を選ぶ小説だと思います。

私も古傷を抉られるような心地よい痛みに浸りたかったなぁ……。


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