『烏に単は似合わない』(阿部智里)を読んで
和風ハイ・ファンタジー。八咫烏の一族の世界。とはいえ、姿は人。血筋が八咫烏のため、その影響は残っている。そのあたりの設定はとても面白いと思った。
世継ぎである若宮の后候補が春夏秋冬になぞられた宮に集められ、后の座を狙う後宮の物語。
こう書くと、甘いか女の怖さか、みたいな印象だけど、それよりは読みごたえがあるかな。ただこれ、史上最年少松本清張賞受賞作なんだよねぇ。選考委員の石田衣良は評価していたみたいだけど、正直、どうなの?って思ってしまった。これがラノベかどっかの新人賞だったら、「ああ、面白かった」で終わるけど、松本清張賞あげていいの?
たしかにミステリー要素はあるし、種明かしも好みの内容。2/3くらいまでの後宮の華やかでありながら競い合う雰囲気は、一変する。ここの流れは面白い。けど、種明かしの方法が納得いかない。安楽椅子探偵の謎解きなんだよね。突然すぎるというか、あんた急に出てきて何言ってんの? とか思っちゃう。
これは作者が若いせいなのか、ラノベ風の作風のためなのかわからないけど、とっても残念な感じ。伏線が弱すぎる。本人は書き始めから決まっていたプロットなのかもしれないけど、どうしてもご都合主義の印象を受ける。編集者、なにやってんだよ、と言いたくなります。
でも、設定や世界観は結構お気に入りです。これだけ言いたい放題の後で、それこそ何言ってんの?と言われそうだけど、とりあえず、続編は読もうと思います。もちろん、文庫になってからね。




