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『君の隣に』(本多孝好)を読んで

この方の小説、好きです。最初に読んだのは『MISSING』でした。2000年頃だったから、結構長く読み続けています。今のところハズレはないですねぇ。安心して手に取ることができる作家です。

最近では『dele』がドラマ化されましたが、ドラマもかなりおもしろかったです。


この本は作者買いだったので、あらすじも読まずに買いました。

デリヘルの女の子の失踪とそれを取り巻く人間模様、といったところでしょうか。

主軸はシングルマザーのレイカの失踪と、彼女を敬慕し、行方を追う切れ者の大学生でデリヘル経営者の早瀬の物語。各章で視点が異なり、デリヘルのお客さんや教師、元警察官などの人生と絡めて真相に近づいていきます。

話は意外な方向へ向かうのですが、考えてみればさして意外でもないよなと妙にしっくりきてしまう感じもあり。

ミステリーで先の気になる内容でもあるのに、透明感のあるヒューマンドラマを読んでいる気分にもなります。うん、そう。本多孝好の小説の共通点って、透明感だと思うんですよ。さらりと軽いってわけじゃないし、どれも死と真摯に向き合っている印象を受けるのですが、重さが暗く淀んだものではないんです。せつなくも小さなともしびを感じるような。

この小説もそんな読後感でした。

読んでいる間は、本のタイトルがなんなのかすっかり忘れていたけれど、読み終えて本を閉じた瞬間、「ああ、『君の隣に』……!」と一人で何度も頷いてしまいました。


ストーリーと直接関係ない感想としては、地元が舞台で親近感がわきました。横浜のイセザキモールが主な舞台。デビュー前のゆずがストリートライブをやっていたところというと伝わるでしょうか。あとは「横浜ローズ」のモデルとなったメリーさんがよくいた場所です。

メリーさんがいたことからもわかるように、闇市から発展した歓楽街で、今でも一本道を入ると多国籍な雰囲気に満ちていて、風俗店も多いです。物語はそんな一本道を入った感じのもの。

もうひとつストーリーそのもの以外でフムフムと思ったのは、デリヘルというお仕事と仕組み。聞いたことはあるし、ぼんやりとしたイメージはあったけど、実際どんなもののことなの?って思ってて。なるほど。ミステリーだったせいもあり、お客さんにとっても従業員にとってもなかなかリスキーで、これは物語性があるわ……と思いました。だって怖いよね、よく知らない人と密室って。しかも超無防備な状態だし。


楽しく読みました。

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