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騎士と聖女になる前のおはなし

『勝炎の騎士』ヴィンス、ウェインズ王国の歴史に名を残した有名な騎士である。

この騎士が戦争に参加すると負けなし、全世界にそう言わしめた偉人である。


『氷結の聖女』アリア、こちらの聖女もウェインズ王国の歴史に名を残した有名聖女である。

氷魔法、聖魔法、どちらも使いこなし王国の民に希望と活力を与えた偉人である。


この二人のとんちんかんな学園生活のお話。




<ヴィンス幼少期>

ガーティエル辺境伯の長男であるヴィンス。

幼少期の頃から口下手であり剣も魔法も特別すごいというわけではなかった。

『何か言いたいことがあるのなら剣を振りなさい。そうすれば伝わることもあるだろう。』

父のその言葉を信じて剣を振り続けている。


変わったのはそうメービス子爵の長女であるアリアという婚約者が出来てからである。

どちらの子もあまりしゃべらない、会うときもお互い魔法の練習をしているだけ。

でもそれが俺には心地よかった。


「出来ないけれど、火魔法を教えてほしい。」

「剣を見せて欲しい。」

「聖魔法を見て欲しい。」


話しかけてくれるだけでうれしいものだ。でももっと頼って欲しい、そのことを伝えるのは少し恥ずかしい。

剣を振ろう。魔法をいつ聞かれても教えてあげられるようになろう。

自ずと分かってもらえるはずだ。


しばらくすると彼女は俺の家に来なくなった。

いずれにせよ剣を振る理由は彼女以外ない。



そこから数年隣国が領土に攻めてきたのだ。

軍に所属し、戦争にも何でも行って証明してやる。

戦って、戦って、剣を振る。それが愛する婚約者のために出来ることだから。


いつしかヴィンスは王国中で『勝炎の騎士』と呼ばれるに至っていた。




<アリア幼少期>

メービス子爵の長女であるアリア。

メービス子爵家は代々水魔法を得意とする家だった。

アリアは難易度の一番高い氷の魔法を幼少期のうちにマスター、王国中から神童ではないか?そう言われてきた。


幼少期から特訓に打ち込み続ける彼女に婚約者の打診が来た。

ガーティエル辺境伯の長男であるヴィンスという同い年の男の子だ。

魔法もだめ、剣もだめ、あまりしゃべらない。

正直言ってあんまり好きではない。

でも親同士が決めた婚約なのでしっかりしないと!


「出来ないけれど、火魔法を教えてもらえないかしら?」

なんでこんなこと聞いたんだろうか。

あまりにもしゃべらないから?

お互い一緒にいるのに魔法をそれぞれ勉強するだけなんて味気ないし、時間の無駄だけれどしょうがないか。


「あ、えっと。うん、見せてあげるね。」

にこっと笑って本当に小さくて、暖かくて優しい彼の火を見たとき、私はこの人の婚約者で良かった。そう思った。


次に会った時彼に、「剣を見せて欲しい。」とわがままを言ってみた。

「あのね、頑張ってるから、自信があるんだ。」


少し顔をはにかみながら言う彼をみて、「かわいい」と誰にも聞こえない声でそう伝える。

剣を頑張っている彼は、かっこいい、強そうと言われた方がうれしいだろうから。


彼は恥ずかしがりなのに頑張ってしゃべりかけようとしてくれる。

その心がうれしいの。


ある日、「アリアは、婚約者が強い方がうれしい?」そう彼が聞いてきた。

『私は、優しいあなたが好き、魔法も剣も全部が優しいあなたが好きなの。』

そう言いたい気持ちをぐっとこらえて、

「強い方がうれしいわ。もちろん。」そう答えた。


「じゃあ僕が剣をアリアのために振るよ。絶対守れる騎士になるね。」



彼に会いに行く前日、水魔法で氷を出そうとしてもうまくいかない。

おかしい、そう思い王都の教会へと行った。

詳しく調べて貰うと聖魔法が使えるようになっていた。


教会に聖女として所属することになり、子爵家も聖女の修行期間だけ出ることになった。

元々使えた水魔法、聖魔法を混ぜることによりポーションと呼ばれるものを作った。

作った理由としては、彼の住む領地で戦争が起きたから。


何か出来ることはないか?そう思った。

ポーションくらいしか自分には出来ることがなかった。

婚約者なら隣で支えてあげたり、意見を言い合ったり出来るんじゃないのか?

婚約者失格だ。

婚約破棄されて当然なのかも知れない。

ならばせめて聖女として修行を頑張ろう。




聖女の修行が終わり、子爵家に戻ることになり、貴族の学園に通うこととなった。

彼とは学園が同じだし少し話せる機会もあるだろう。

そう思い学年の表を見る。

『彼がいない?どうして?』

だめだよ。婚約破棄された(※されてないです)私には気にする権利もない。


そうして彼のいない学園生活が始まった。

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