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第9話「美咲の心の声」

雪に包まれた病室の窓際、美咲は静かに座っていた。外の雪景色を見つめるその瞳には、恐怖と孤独、そして微かな希望が混ざり合っていた。


「来てくれるかな…」

小さく呟いた言葉は、自分自身への問いでもあり、胸の奥に潜む不安を吐き出す行為だった。病気で弱った体、先の見えない未来、時間の限界――すべてが胸を締め付ける。


窓の外の灯台の光が雪に揺れ、海面に小さな道を描く。その光を見つめながら、幼いころの拓海との思い出がふっと蘇る。雨の日に肩を寄せ合った秘密基地、灯台の下で交わした約束、小さな手を握った温もり。あの瞬間の温かさが、今の孤独と対比され、胸にじんわりと痛みを残す。


「でも…拓海なら、きっと」

美咲は小さく笑った。その笑顔には、恐怖を押しのけようとする意思と、信じる力が込められていた。胸の奥で、愛情と希望、孤独と不安が交錯し、微かに震える手にそれが表れる。


病室の静寂の中で、呼吸の音が心の鼓動と重なる。雪の舞う音、潮の匂い、手のひらに伝わる温もり――すべてが彼女の感情を増幅させる。目の前にある手紙に触れる指先にも、その微かな温かさが伝わり、胸を静かに締め付ける。


「拓海…来てくれる」

その願いが心の奥から声になり、涙が一粒、頬を伝った。雪と灯台の光、港の香りに包まれながら、美咲の心は確かに、拓海の到着を待っていた。


雪に包まれた港町で、二人の時間は静かに、しかし確実に交わろうとしていた――。


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