第12話「港の雪景色」
港にたどり着くと、雪はますます静かに舞い落ちていた。白銀に包まれた波止場、潮の香り、灯台の光が雪に反射して揺れる様子――すべてが、胸をぎゅっと締め付ける美しさだった。
拓海は手紙を握りしめ、深く息を吸う。雪の冷たさが手袋越しに指先に伝わるが、胸の奥には温かい決意が灯っていた。幼少期の思い出、病室で見た美咲の笑顔、そして手紙に隠された秘密――すべてが、今この瞬間に結びつく。
美咲もまた、雪景色を見つめながら微かに息を整える。灯台の光が彼女の瞳に反射し、静かに揺れる。その光の道は、幼いころに交わした約束と、今の二人の心をつなぐ橋のように見えた。
「拓海…」
小さな声に、胸が締め付けられる。雪の音、波のさざめき、冷たい風の刺激、そして指先に伝わる手の温もり――すべてが、感情の高まりをさらに増幅させる。
拓海は美咲の手をそっと握る。冷たい雪の中でも、その手の温かさが胸に直接伝わり、幼少期の温もりとリンクする。灯台の光が雪に反射し、小さな光の道を港の奥まで延ばしていた。
「約束、絶対に果たす」
拓海の心に決意が再び燃え上がる。雪に包まれた港町で、二人の時間は静かに、しかし確実に、幼少期の誓いと現実を重ねながら動き始めていた。
白銀の港、揺れる灯台、そして雪に包まれた二人の影――すべてが、静かに胸の奥に刻まれる。涙をこらえる必要はなかった。感情のすべてが、この雪景色の中で確かに生きていた。




