黒きアホの子たちの魔王砲
前書き
二〇一九年十一月。東京、大手町の赤いメガバンク最上階。
そこは、世界経済の血液を司る「心臓部」であるはずだった。しかし、黒木万桜が持ち込んだ『物理的な真実』――東京湾のヘドロから精錬された莫大な金塊は、既存の通貨システムという名の脆弱なプログラムを、一瞬でオーバーフローさせる致命的なバグ(富)へと変貌する。
「円」という器から溢れ出す価値の奔流。インフレと円安の同時多発テロという、物理現象としての経済崩壊。
魔王・万桜が導き出した最適解は、国家の枠組みさえも人質に取る『ドルの塩漬け』という名の経済的核兵器だった。
一方で、海底プラントから生み出された「二次代謝産物」は、全盛期の象徴たる毛根の再生という、人類史上最も抗いがたい「奇跡」をディールのテーブルに載せる。
金融界の怪鳥・土御門晴景を広告塔に据え、世界の汚染を吸い上げながら主導権を掌握する、セイタンシステムズの強制デバッグ。
立ちはだかるハゲタカどもには、医学的かつ人道的な「脊髄の切断」を。
これは、天才たちが「全盛期の日本」を守るため、古い世界の支配構造を根底から焼き払う、最も合理的で残虐な『情愛のレンダリング』の記録である。
2019年11月中旬。東京、大手町。
赤いメガバンクの本部、最上階の執務室にて。
「……なぁ、黒木くん。君が東京湾から吸い上げた資源の換金、これ以上進めたら日本経済のインフレ率がバグるんやけど? どう責任とってくれるんや?」
土御門晴景は、積み上がった金塊の預かり証を前に、自身の前頭部をさすりながら呻いた。
「知らねえよ。俺は物理的に価値のある不純物を取り除いただけじゃん。後のロジスティクスは、赤い頭取の仕事だろ」
万桜は、最高級の応接ソファに深く沈み込み、不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「どうしてインフレ率がバグるんだよ。なんでさ?」
万桜は、晴景の机に積まれた金の山を指先で弾いた。
「俺が海から金を取り出した。物質的な価値が増えた。それだけだろ。なんで物の値段が上がるなんて非合理なことが起きるんだよ?」
「……ええか、黒木くん。これは『密度の問題』や」
晴景は、空のコップと、並々と水の入ったピッチャーを机に置いた。
「このコップの中の水が、市場に流通してる『円』や。ピッチャーの中の水が、おまえが掘り出した『金』を換金した時に生まれる『新しい円』やとする」
晴景は、勢いよくピッチャーの水をコップに注いだ。当然、水は溢れ出し、高級なデスクを濡らす。
「これや! 市場という器に対して、君が持ち込んだ『価値』が急激すぎて、器から溢れ出しとるんや。円の量だけが爆発的に増えても、世の中にあるリンゴや肉の量はすぐには増えへんやろ?」
「……。供給量に対して、媒介となる通貨の密度が上がりすぎるのか」
万桜のジト目が、物理現象として経済を捉え始めた。
「そうや! 同じリンゴ一個を買うのに、昔は百円で済んだのが、円が溢れかえったせいで一万円出さなあかんようになる。これがインフレや。君が金を掘れば掘るほど、庶民の持ってる貯金はゴミ同然の紙屑に変わっていくんやぞ。君、全盛期の日本を救うつもりが、物価高で焼き払う気か?」
「……チッ。通貨というシステムが脆弱すぎるんだよ。流量制御もできてねえのかよ」
万桜は心底不快そうに舌打ちをした。
「……で、円安も起きるのか? 金が増えたのに価値が下がるなんて、エントロピーの法則に反してねえか?」
万桜は、納得がいかないという顔で、インゴットを積み木のように弄びながら問いかけた。
「起きるどころか、猛烈な勢いで円が売られる可能性が高いんや、黒木くん」
晴景は、自身の光り輝く頭を抱え、絶望的な予測を口にした。
「君が金のインゴットを円に替えたとするやろ? 市場にはアホみたいな量の円が溢れる。さっき言ったインフレや。そうすると、世界中の投資家はこう考えるんや。『日本は金は持っとるけど、円という通貨の量は増えすぎて、価値が薄まっとる。インフレで円の購買力が落ちるなら、今のうちに円を売って、安定したドルに替えとこう』ってな」
「……。通貨というラベルの信頼性が、物質の量に反比例して崩れるのか」
万桜のジト目が、さらに鋭くなる。
「そうや! つまり、『円がジャブジャブに溢れてるから、円なんていらねえ』という投げ売りが始まる。これが円安や。君が掘り出した金は『物理的な富』やけど、それを既存の『円』というシステムに無理やり流し込もうとすると、システム自体がその重みに耐えきれずに壊れる……。それが円安とインフレの同時多発テロや!」
「……チッ。勝手に人間が『将来の不安』とかいうノイズを乗せて、価値を変動させてるだけだろ。非合理的すぎるわ」
万桜は、インゴットを机に放り投げるようにそっと置いた。
「なら、最初から円なんて介在させなきゃいいだろ。アメリカに直接金を売って、ドルに変えて『塩漬け』にする。そうすりゃ、国内の円の供給量は変わらねえし、ドルという重力で円の暴落を外側から抑え込める。そうだろ、ハルハゲおじさま?」
「……! おまえ、理解が早すぎて怖いわ! 日本国内のシステムを汚さずに、外側の重力場を操作して安定させる……。まさに経済のテラフォーミングやな」
晴景は、感心を通り越して戦慄した。
「全盛期の日本を維持するために、わざわざバグだらけの円をいじる必要はねえ。外部のエネルギーを利用して、中の生態系を守る。これが最も合理的な『防壁』の配置だわ」
「あれ。アメリカで金を売って、ドルを塩漬けすれば、日米の両政府が俺たちに物申せない?」
万桜は、ホワイトボードを指で弾き、極めて不機嫌な笑みを浮かべた。
その視線は、もはや目の前のインゴットではなく、太平洋を跨いだ巨大な「パワーバランスの等式」を射抜いている。
「……ちょ、待て。おまえ、今何を言った……?」
晴景の顔から血の気が引き、光り輝く頭頂部が脂汗で曇り始めた。
「理屈は簡単だろ。俺たちが東京湾から掘り出した金をアメリカに売りつける。代金のドルは、円に替えずにそのままアメリカの銀行に『塩漬け』で放置するんだ」
万桜は、指先で空中に巨大な円を描いた。
「そうすりゃ、アメリカ政府は『史上空前のドル買い』が発生したと誤認して、ドル高を維持せざるを得なくなる。一方で、俺たちがその膨大なドルの引き出しを一瞬でも示唆すれば、アメリカの金融システムはオーバーフローして即死するだろ?」
「……核兵器よりタチ悪いわ、その経済的デッドマンスイッチ」
拓矢が、頬を引き攣らせて呟いた。
「日本政府も同じだ。このドルの山を円に戻されたら、殺人的な円高で産業が全滅する。つまり、日米両政府は、俺たちが『ドルのまま放置してやる』という慈悲のために、セイタンシステムズのやることに指一本触れられなくなる。これが最も合理的な『不可侵領域』の構築だわ」
万桜の論理は、一国の通貨を「人質」に取ることで、法や国境という名のノイズを完全に無力化した。
「ひ、ひぃぃぃ! 日本銀行の役割を、大学生のベンチャーが乗っ取るとか、世界が終わるわッ!」
晴景が絶叫し、机の下に潜り込んだ。
「日銀砲ならぬ万桜くん砲ね。いいわね。ファンドの焼き鳥。美味しそうじゃない?」
舞桜が、艶やかな唇の端を吊り上げ、蠱惑的に笑った。
その瞳には、巨万の富を動かす冷徹な投資家たちの焦燥が、まるで炭火で炙られる獲物のように映っている。
「……おい舞桜。おまえ、食い物で例えるのやめろ。胸焼けするわ」
万桜は、自身の名前を冠した「経済兵器」の呼称に不機嫌そうなジト目を向けたが、その口角は微かに上がっていた。
「あら、いいじゃない。強欲なヘッジファンドたちが、あなたの『ドルの塩漬け』という名の熱線に焼かれて、脂を落としていくのよ? 最後に残った香ばしい利益だけを、あたしたちが美味しくいただく……。これこそ、全盛期のディナーにふさわしいわ」
舞桜は、細い指先で空中に見えない串を描き、優雅にそれを口に運ぶ仕草を見せた。
「ひ、ひぃぃぃ! お嬢様! 言うことが怖すぎますわ!」
晴景は、椅子から滑り落ちて床にへたり込んだ。
「『万桜くん砲』が一度でも火を噴けば、ショートを仕掛けてたハゲタカどもは一瞬で蒸発や! まさに『ファンドの丸焼き』地獄絵図やで!」
「焼き加減は、俺が調整する」
万桜は、タブレットを晴景の鼻先に突きつけた。
「ハルハゲおじさま。あなたの銀行のネットワークを使って、この『塩漬けドル』の情報を、特定のノイズとしてマーケットに流してくれよ。餌を撒けば、バカな鳥どもが群がってくる」
「……誘い込んで、一気にドルの引き出しを匂わせるのか。まさに物理的な『罠』だな」
拓矢が、冷や汗を拭いながらその論理を補完する。
「そう。抵抗すればするほど、火力が上がるシステムだ」
万桜は、舞桜の蠱惑的な笑みに応えるように、最も合理的で、最も残酷な「魔王の微笑」を浮かべた。
「言いなり状態で都市部のヘドロを吸い上げてあげれば」
舞桜は、扇情的なほどに美しい笑みに「魔王」を宿した。
その言葉は、万桜の構築した金融要塞に、実効支配という名の強力な「プラグ」を差し込むものだった。
「……なるほどな。ヘドロを吸い上げるのは、単なるデトックスじゃねえ。その都市の『隠し事』と『生命線』を同時に掌握するってことか」
万桜は、舞桜の瞳に宿る冷徹な知能に呼応するように、不敵な笑みを深くした。
「アメリカや欧州の古い都市の川底には、数世紀分の汚物と、隠蔽された産業廃棄物のバグが溜まってる。それを俺たちの『氷の掃除機』で一方的に吸い上げてやるんだな」
「そうよ。彼らが喉から手が出るほど欲しい『清潔』を餌に、都市の血管にセイタンシステムズの触手を伸ばすの。拒絶すれば万桜砲で経済を焼き、受け入れればヘドロと共にその都市の主導権をあたしたちが吸い上げる……。逆らえない全盛期の支配構造だわ」
舞桜は、まるでチェスの王手をかけるように、テーブルの上のティーカップを静かに動かした。
「ひ、ひぃぃぃ! お嬢様まで『魔王』化してもうた! これ、清掃ボランティアのふりをした、世界規模の『強制デバッグ』やんか!」
晴景は、もはやツッコミを入れる元気もなく、自身の毛根の生存を諦めたような目で虚空を見つめた。
「いいだろう。拓矢、ニューヨーク、ロンドン、パリ……各都市の汚染データをリストアップしろ。西郷と寧々さんには、海外遠征の準備をさせる」
万桜は立ち上がり、窓の外に広がる東京の夜景を見下ろした。
「ドブ川を資源に変え、不純物をデリートし、水を再生させる。文句があるヤツは、汚物にまみれたまま経済的に心中させてやらぁ」
「……善きに計らえ、ね?」
舞桜が重ねた言葉は、夜のオフィスに甘く、そして絶対的な響きを持って消えていった。
「サブリナ。西郷に魔王を解放する。考えてみろよ。多層構造プラントで、CO2濃度を高めて、海底のヘドロを植物が吸ってんだぜ? 二次代謝産物がヤバいことになる」
万桜は、洋上に浮かぶ巨大なプラント群をジト目で眺めながら、不敵な論理を口にした。
「高濃度の二酸化炭素と、海底から吸い上げた重金属という名の刺激。植物にとっては地獄だが、生き残るために連中は見たこともねえ特殊な化合物を吐き出す。重金属や希少土類の他に、それも回収させる。あいつオタク気質だから、極めると思うぜ」
「まあ、終わったRPGのレベルあげてそうだよね西郷って」
莉那はそう言って、天真爛漫に笑いながら携帯端末を取り出した。
画面には、かつて高校の「魔法の無線」を支え、今や世界規模の演算能力を得た人工知能のアイコンが明滅している。
「魔王。善きに計らえ」
莉那が命じた瞬間、東京湾の海底に沈むプラント群の「リミッター」が外れた。
人工知能魔王の深層学習が、西郷の「職人気質」という名のノイズを、最適化された生産プロセスへと変換していく。
「……おい、万桜。プラントの深部から、未知の有機化合物の反応が出てるぞ。これ、抗がん剤や超伝導体の材料になり得る希少成分じゃねえか?」
拓矢が、手元のモニターに表示された複雑な分子構造を指して驚愕の声を上げた。
「毒を食わせて、宝(資源)を吐き出させる。植物という名の物理現象を、西郷という名の職人に管理させる。これが地球のデトックスにおける回答だわ」
万桜は、魔王が吐き出す膨大な「価値」のリストを眺め、不敵に鼻を鳴らした。
「西郷、もう海から上がってこないんじゃない? 伝説のレアアイテムドロップするまで粘るタイプだし!」
莉那の軽やかな笑い声と共に、東京湾は世界で最も高付加価値な「生物学的資源工場」へと変貌を遂げた。
「さてハルハゲおじさま。取引の時間です」
万桜は、これまで見たこともないほど不敵な笑みを浮かべ、晴景の瞳を真っ直ぐに射抜いた。
「晴景おじさまに戻りたくはありませんか?」
「……っ!?」
晴景の心臓が、物理的な衝撃を受けたかのように跳ねた。
日本経済を司るメガバンクの頭取として、数多の修羅場を潜り抜けてきた男の顔が、一瞬で「一人の悩める男性」へと戻る。
「……おまえ、今、なんつった? 戻れる……のか? あの、風に髪をなびかせていた、あの全盛期のわしに……」
「海底プラントから回収された二次代謝産物の中には、毛母細胞のテロメアを物理的に再起動させる特殊なナノ化合物が含まれているかもしれません。西郷のヤツが、オタク特有の執念でその純度を限界まで高めやがる可能性は十分にあります」
万桜は、魔王の疑似量子演算結果が表示されたタブレットを放り投げた。
「それを使えば、あなたの頭皮という名の『荒野』を、生命力溢れる『密林』へとテラフォーミングできる」
「やる……! やらせてくれ! 金ならいくらでも出す! ドルの塩漬けでも、水の再生でもなんでも言いなりや!」
晴景は、なりふり構わず万桜の足元に縋り付いた。
「頼む……『ハルハゲ』という名の不条理なノイズを、俺の人生からデリートしてくれ!」
「話が早くて助かりますハルハゲおじさま。なら、まずはアメリカの資産家どもに『若返りの奇跡』を見せつけてあげましょう」
万桜は、冷徹な魔王の瞳で晴景を見下ろした。
「あなたの頭が『全盛期』を取り戻したその瞬間、世界の富裕層はセイタンシステムズの軍門に降るでしょう。毛根という名の『個の救済』を餌に、世界の資本を『公の救済』へ強制転換させる。これが俺たちの提案する、最も合理的な世界平和の形です」
「頭取がセイタンシステムズの歩く広告塔になるわけね! 毛根の再生と引き換えに、世界中の河川をピカピカにリノベさせるとか、マジで魔王の取引、エグすぎなんだけど!」
莉那の天真爛漫な笑い声が、大手町の夜に響き渡る。
「まあ段階的に影響力を広めることは賛成だ」
それまで沈黙していた勇希が、冷徹なまでの美貌を崩さず口を開いた。
「考えてもみろ。学生ベンチャーが、これほどの資本を手にすれば、本来であればどう言う接触がある?」
勇希の真っ当な指摘に、万桜は大きく嘆息し、
「反社が用心棒を申し出てくるわな……」
そう呟いた。
通常であれば、これほどの利権にはハエのように寄ってくるはずの暴力的なノイズ。それが今、一切存在しない現状を、万桜は不自然だとは思わなかった。
なぜなら、このテーブルを囲む面々の背景があまりにも異常だからだ。
舞桜は国でトップレベルのご令嬢。晴景は日本経済の心臓を握るメガバンクの頭取。さらに舞桜の兄である茅野淳二は、日本の土木を統べる大手ゼネコンの社長だ。
「赤いお面と赤い頭取が電話一本掛けるだけで、末端の木っ端組織は潰される」
万桜は、自らの知能を支える「権力という名の物理的な盾」を指差し、シレッと宣った。
茅野建設の「赤いお面」の威光と、メガバンクの「赤い頭取」の資金力。その二つが動くだけで、地上の大概の不条理は事前検知され、シュレッダーにかけられる。
「あまり動きが派手だと、向こうもムキにならざるをえん……面子のために暴発するかも知れんしな」
勇希は、万桜の楽観に頷きつつも、鋭い警鐘を鳴らした。
非合理的な感情で動く人間ほど、追い詰められれば「論理的な生存」を捨てて特攻してくる。それは勇希が学ぶ医学において、脳の制御を失ったパニック状態の患者が、筋繊維の限界を超えた力を出す現象にも似ていた。
「いいじゃないかハルハゲ閃光。あたしは好きだぞ、ハルハゲおじさま。だから手綱を握ってくれんと困るんだ」
勇希は、自身の白衣の袖を整えながら、やんわりと釘を刺した。
それは、毛根の再生という「奇跡」に浮足立つ晴景への、最高学府の秀才らしい冷徹な信頼の表明でもあった。
「……っ! 勇希ちゃん、好き言うてくれたん!? 今、好き言うてくれたな!?」
晴景は、歓喜のあまりデスクを叩いて立ち上がった。その瞳には、すでに失われたはずの「全盛期の自信」が宿り始めている。
「キレッキレのダンスがな」
勇希は、晴景の歓喜のリアクションを、メスで腫瘍を切り取るかのような冷徹さで無慈悲に切り捨てた。
「別に反社勢力はどうとでもなる。問題はその背後のファンドだ。やるなら奇襲で殲滅させ、再起不能にするのがいい」
その瞳には、医学生としての温かみは微塵もなく、ただ「害悪を効率的にデリートする」ための冷たい光が宿っている。
「「「白き勇者じゃなくて、魔王寄りの発言だよぉ……?」」」
万桜、拓矢、莉那の幼馴染たちは、そのあまりの「残虐なまでの合理性」に、揃って涙目で怯えた。
「だってウザいじゃん。メンドイじゃん」
勇希は悪びれる様子もなく開き直り、自身の白衣のポケットに手を突っ込んだ。
「中途半端に泳がせて、何度も神経を逆なでされるくらいなら、脊髄を断つように一瞬で終わらせるのが、医学的にも人道的にも正しい処置だろ」
「あたしも勇希に賛成よ。やるんなら一撃。残虐ってそう言うものだわ」
舞桜は妖艶に嗤った。
「生かさず殺さずなんて甘っちょろい。彼らが二度と『円』や『ドル』という言葉を口にするのも恐ろしくなるような、完璧な絶望を植え付けてあげましょう?」
「……。わかったよ。おまえら女子チームがその気なら、俺が世界一精密な『処刑プログラム』を組んでやるよ」
万桜は、背筋を凍らせながらも、その不敵な笑みを深くした。
「ハルハゲおじさま。あなたの『キレッキレのダンス』で投資家どもの注意を引いてくれ。その隙に、俺と勇希と舞桜で、奴らの全機能を一瞬で無力化してやるからよ」
「……。俺、自衛隊入るのやめて、この女子たちの護衛に専念した方がいいかもな……」
拓矢が遠い目をしながら呟いた言葉は、誰にも届かずに大手町の夜に溶けていった。
『鋼鉄のポジティブ ~未来の世界のネコ型ロボットを迎えに行こう~』をお読みの地球の皆様へ!
いつも拙作『鋼鉄のポジティブ ~未来の世界のネコ型ロボットを迎えに行こう~』をお読みいただき、本当にありがとうございます!
物語の中で、「魔王」こと黒木万桜は、時には「水嚢の川」で災害に立ち向かい、時には中古スマホを活用したクローズドネットワークなんて突拍子もないアイデアまで生み出しています。
実は、この物語には、万桜のそんな「もしかしたら、これって本当に役立つかも?」と思えるような、たくさんのアイデアが散りばめられているんです。読者の皆さんも、「これ、面白い!」「こんな風に使えるんじゃないか?」なんて、閃いたことはありませんか?
地球のみんなぁ~! オラに「★」をわけてくれーっ!
もし、この物語を読んで、少しでも「面白い!」「次の展開が楽しみ!」「万桜のアイデア、イケるかも!」と感じていただけたなら、どうかページ下部の【★★★★★】ボタンをポチッ!と押して、星評価を分けていただけないでしょうか!
皆さんのその「★」一つ一つが、作者の大きな励みになり、万桜の次の「魔王案件」へと繋がるエネルギーになります!
引き続き、『鋼鉄のポジティブ ~未来の世界のネコ型ロボットを迎えに行こう~』をどうぞよろしくお願いいたします!




