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乙女ゲームだコレェ!!  作者:
第一章
8/25

08.5歳になりました

 

 私は5歳になった。

 5歳になっても、相変わらず習い事を続けている。強いて変わった点を挙げるとするならば、朝の“軽い運動”の時間が少し伸びたのとマナー教育が増えた位か。

 貴族社会において、マナー、礼儀作法というのは非常に大切な事柄らしく、子供の頃からみっちり仕込む事で何処に出しても恥ずかしくない王子に仕立て上げるのだとか。

 現代では訳の分からないマナーが増え過ぎて、自作(オリジナル)マナーを作るのがマナー講師の仕事と揶揄されていたが、今世のマナー講師は王宮お墨付きの本物のマナー講師である。

 そのマナー講師はハーバリアス講師ではなく、新たに任命された者であり、リリネット前侯爵夫人とも呼ばれるシャルロットだ。祖母の古い友人であり、祖母の推薦で来たとか何とか。

 厳格そうな見た目をしているが、祖母のお友達らしいのでそれだけという訳ではないだろう。何と呼べばいいか尋ねたら、“リリネット前侯爵夫人”と呼べとなった。侯爵位は既に息子に託しているので、今の立ち位置は前侯爵夫人という事らしい。名前呼びはもう少し夫人と仲良くなってからと言われてしまった。

 そのリリネット前侯爵夫人が言うには、近い内に母主催のお茶会があるようで、それに向けてのマナーを学ばなければならないようだ。


「ユーキスタス様にお教えした礼儀作法は既にほぼ完璧にございます。えぇ、小憎たらしい程に」


 頑張って覚え、その通りに実践したのに酷い言い草である。子供らしくもっと失敗した方がいいって事だろうか。まぁ、確かに泣き言一つ言わずに黙々と励む様子は子供らしくなかったかもしれない。しかし、お茶会で母に恥をかかせる訳にもいかなかった故に頑張ったという事でもっと褒めて欲しい。


「次のお茶会は気安い場ですので、それ程マナーを気にしなくてもよいのですよ。但し、礼儀作法を完璧に修める事はとても重要です。正しい作法を実行出来るのと不完全な作法では、他の者からの評価が雲泥の差ですからね」


 今迄教えた礼儀作法はほぼ完璧で非の打ち所が無いけれど、礼儀作法の授業はまだまだ続くから気を抜かずに頑張ってねという事らしい。尚、“ほぼ”が付くのは、講義の内容に対して身体の成長が追い付いていないからであり、私の落ち度ではない。

 リリネット前侯爵夫人が言う、例のお茶会は招待客達が子供同伴で来るらしく、それ程畏まった場ではないとの事だ。子供はそれ程マナーに頓着しないし出来ないだろうという諦めが見える。………まぁ、5歳だからな。ある程度の社交性はあるだろうが、礼儀(マナー)を守れるかどうかは微妙なところだ。


「ユーキスタス、次の茶会でお前の側近候補達を選定するぞ」


 いつもの父母との触れ合いの最中、父から唐突にこんな事を言われた。

 側近候補? 次の茶会? それって母主催の気安い茶会の事だろうか。そういえば、リリネット前侯爵夫人は、子供同伴の茶会らしいとか言っていたな。つまり、その子供が側近候補って事? しかし、側近か………。私、まだ5歳だぞ?


「リリネット前侯爵夫人の報告では、礼儀作法については申し分が無いらしいな。………まぁ、側近候補と言っても固く構える必要は無い。友達作りの一環として同年代の子らと遊んできなさい」


 この父、割と私に甘いよね。側近候補とか難しい事は考えず、茶会に来た子供達と仲良く遊べ、だとさ。まぁ、実際、私と仲良くなった子から側近候補として選出するんだろうな。

 何人来るのか知らないが、来る子の全員と仲良くなったらどうするんだろうか。

 まぁ、今迄同年代の子供と遊ぶ事はおろか、知り合う機会すら無かったからな。この茶会(チャンス)を活かして友達を作るとしますかね。


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