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乙女ゲームだコレェ!!  作者:
第二章
53/53

53.効果抜群だ

 

 私達はレイレアムスに案内され、室内の指定席に通される。ここは一番良い席ではなく、レイレアムス等の発表者と一番近い席だ。

 恐らくではあるが、私は彼等の関係者として呼ばれたのであって、観覧者ではないという事だろう。ついでに、発表者達から何かを聞かれる可能性もあるからこの位置なのか。

 暫くの間、案内された席でアンティローゼ嬢やジュリエッタ嬢と今後の事等について話していると、どやどやと人が押しかけて来た。開催時間間際となったので、観覧者達を中へと入れているのであろう。

 こうした技術発表会というのは大抵は技術者である大人や技術志望の男性が集まるものだと思っていたが、割と女生徒の数が多いようだ。まぁ、彼女等の目当てはジュリエッタ嬢であって、研究内容ではないようだが。

 ジュリエッタ嬢の周りを一瞬で取り囲む女生徒達(ファンクラブ)。ジュリエッタ嬢の近くに居る“男女”という認識だけだったのか、私とアンティローゼ嬢の顔を見てギョッとする者も居る。………いや、ホント、君達はジュリエッタ嬢しか目に写っていないんだな………とよく分かる事態だった。

 ワイワイと賑やかな周囲。とてもこれから研究発表を行うような雰囲気ではない。彼女達はここがどういう場所だか分かっているのだろうか。そんな彼女達に注意をしようと思ったが、ジュリエッタ嬢に目で制されてしまった。


「君達が、私の事柄について聞きに来てくれたのはとても嬉しく思うよ。但し、ここは他の者も居る。彼等のためにも声のボリュームは落として、私語は余りしないようにしてくれないかな?」


 ジュリエッタ嬢の必殺王子様スマイル。令嬢達に効果抜群だ。恐らく女生徒限定なのだろうが、作り笑顔と言葉だけでこの威力………。本物の王子である私と何が違うのだろう。疑問は尽きない。

 ジュリエッタ嬢に直接声を掛けられた令嬢達は感極まるという態度だったが、統率の取れた動きで急に畏まる。まぁ、これは親衛隊(ファンクラブ)ならではの動きだろうな。流石に信奉者でもない限り、如何に生徒会長の言葉といえども大人しく従うとは考えられない。

 まぁ、ジュリエッタ嬢のお陰で周囲が煩くなくなったのは確かだ。

 これから始まる発表に集中して………聞いていられるかは兎も角、進行役を務めるレイレアムスが騒がしい観客に静粛を促す事態が少なくなっただろう。寧ろ、この状況下で煩くしている奴、空気読めなくない?と牽制出来るようにもなったかもしれない。

 私達の周囲を固めるのはジュリエッタ親衛隊(ファンクラブ)である令嬢達だが、その他の面々は学院講師だったり、他所から来た技術者達のようだ。

 この研究技術は革新的………という訳でもないが、義手や義足に忌避感を示すらしい彼等に対する、楔のような働きをする事が期待出来るかもしれない。折角前世には無かった魔法なんていう技術があるんだから、もっと有用に活用して欲しいものだ。


 研究内容については特に語るべきところでもないだろう。確かに私は義足という手段を提示したが、何をどうしてそうなったという技術の塊であり、噛み砕いて説明されても私にはよく分からなかった。

 多少魔法には詳しい私でもこれだ。周りの令嬢達はまるで分からないのではないかと思ったが、一部の人間は食い入るように見ていた。てっきりジュリエッタ嬢目当てに来たのかと思っていたが、どうやらそれだけではないようだな。

 まぁ、説明途中で実物のジュリエッタ嬢の両足が映し出された時は、黄色い声や悲鳴が上がったのは事実だが。


 さて、恐るべきはグランデスブルグの技術力という事で、各方面の技術者達に影響を与えられたのは確かだろう。義足に対して良い感情を持っていなかった人々が、ある程度の理解を示したのが大きい。

 よりにもよって、グランデスブルグ公爵家の令嬢が義足であり、それを隠そうともせずに技術ごと公表する。しかも、それが王子()の支持付きとあっては、余程の大物でなければケチを付けられない。

 レイレアムス達は、幾つか質問に答えているが、今回の研究発表会は概ね成功したと言っていいだろう。


零式オメガが楽しすぎて筆が進まない。

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