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乙女ゲームだコレェ!!  作者:
第二章
49/53

49.主人公(ヒロイン)

 

「ユーキスタス様、合同講習お疲れ様でございました。一通りやられてみて如何でしたか?」


 次の日、アンティローゼ嬢と共に昼食を摂っているとそんな事を聞かれた。どうもこうも、Dクラス以外は皆さんまともでしたね………。

 やり易さで言えば、B、A、Cの順番と言った所か。Dクラス? 論外です。

 私の疲れた顔を察してか、アンティローゼ嬢は労るように言葉を重ねる。


「ユーキスタス様の薫陶を受けて、考えを改めた生徒は多く居ます。直接指導を受けた者やそれを見ていた者、殆どの方はユーキスタス様に感謝しております。その影響か、平民を見下す貴族も少なくなってきましたし、上手く運んでいるのではないでしょうか」


 私が直接担当した問題児達は、Sクラス()との合同講習以降、他の生徒達とも上手く付き合えているらしい。但し、モニカ嬢は除く。

 件のモニカ嬢の事だが、今も元気に学院生活を送っている。先程も昼を共に過ごさないかとの誘いを受けた処だ。昨日のアレで今日のコレって、めげないね彼女は………。

 危険思想に染まっている疑惑が出ているが、何かしらの問題行動を起こした訳ではないので、謹慎等は言い渡されてはいない。身辺調査後に何らかしらの通達があるだろうが、今は特に何をする事も出来ない。

 そんな訳で丁重にお断りしてきた。婚約者(アンティローゼ)と重要な話があると言われれば、大抵の者は諦めざるを得ない。………まぁ、モニカ嬢はその“大抵の者”ではない事が厄介なのだが。


「余り人を悪く言いたくはないのですが、あの女生徒は一体何なのでしょうか? ユーキスタス様の言葉にも、学院講師の注意にも耳を貸さないとは………。本当にミラー侯爵の推薦を受けた人物と同一人物なのでしょうか?」


 なるほど? 替え玉という事か。前世でも試験を別人が受けるという替玉受験なるものがあったが、今回のモニカ嬢もそれなのだろうか。………いや、流石にそれは無いか? 替玉受験が無いとは言えないが、魔法使いであるミラー侯爵の目を一介の平民が欺けるとは思えない。

 まぁ、そこら辺も身辺調査で調べられるとは思う。学院入学前と後で何らかの影響で、性格が変貌している可能性もあるだろう。

 そう。例えば、私と同じように“現世”から“乙女ゲーム”へと転生してくるような、ね。

 私の推測に過ぎないが、現状ではモニカ・エラ・ミラース嬢が、この“乙女ゲーム”主人公(ヒロイン)の最有力候補だ。

 モニカ嬢が持つ主人公(ヒロイン)属性はこうだ。

 平民でありながら、その優秀さ故に貴族であるミラー侯爵の目に止まり、貴族が多く通う学院へと入学してきた。平民にも関わらず、魔力が公爵令嬢並にある上に、嘘か真か“聖属性”なる魔法を使うという。それに加えて、何故在るのか分からない学院の謎の魔力溜まりに現れるし、髪色がピンク色(常識外れ)だ。

 これらの事を鑑みるに、モニカ嬢は主人公(ヒロイン)である可能性が極めて高いと考えられる。………まぁ、私の“乙女ゲーム”に関する知識は聞き齧った物であるため信用度は殆ど無いのだが。

 仮にモニカ嬢が主人公(ヒロイン)である場合、これ以上に何が起こり得るだろうか。最初の遭遇では、私との接触はそこそこであった。私の印象に残る事は出来たが、好感触かと言われればそうではないだろう。イベントと思われる魔力制御の授業では、結果的にモニカ嬢に対して王家の調査が入る事となった。それも、好意的な興味から来る調査ではなく、テロリスト(思想犯)疑いの調査だ。

 つまり、印象的に言えば最悪。しかも、身辺調査が終わったら、結果如何に関わらず、ミラー侯爵の元へと返される予定となっていると聞いた。

 もし、彼女が主人公(ヒロイン)としての自覚を持っていたとしても、ここからの巻き返しはキツいのではなかろうか。

 彼女がああいう風になってしまったのは、彼女だけの責任ではないのかもしれない。しかし、結果としてこういう事になってしまった。これからどうするのかを決めるのは彼女自身の選択だ。願わくば主人公(ヒロイン)に返り咲く事が無いようにさせたいが。


まぁ、流石にコイツが主人公(ヒロイン)よねと勘付いたようだ。


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