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乙女ゲームだコレェ!!  作者:
第二章
33/53

33.そういう所だぞ

 

 私のところにも講師からクラス長の打診が来ているが、勿論断るつもりである。


「出来ればローズにはクラス長をやらないでいて欲しいが………。ローズ以外の者だと誰が居るのかな?」


「ダリウス候爵令息か、エニファン候爵令嬢になります。………アンティローゼ様をクラス長にさせたくない理由を伺っても?」


 私とのイチャイチャ時間が減るため………と正直に答えてもいいが、とりあえず建前を先に述べておこう。


「皆も知っての通り、彼女は私の婚約者だ。王宮で何かあった場合、彼女も同じく呼ばれる可能性が高いと思う。その場合、クラスのまとめ役が居ないと色々と不都合が起きるだろう。だから、彼女にはクラス長という責任ある立場には居て欲しくないんだ。少なくとも、一年の間はね」


 婚約者も呼ばれるような事態なんて、早々起こらないけどね。だが、これは建前。しかし、尤もらしい事を断言した方が優位に働く場合が有るのである。

 私の建前に納得してくれたのか、レイレアムス達は頷いている。どうやら、分かってくれたようだ。………まぁ、恐らく完全には納得していないが、王子()の言う事だからと了承してくれたのだろう。


 些か報告会のようになってしまったが、皆これからもやっていけそうでなによりだ。

 だが、学院生活は始まったばかりだ。これから幾つか問題も出てくるだろう。その問題の解決は他の誰かに任せるとして、私は“乙女ゲーム”の“主人公(ヒロイン)”ついて警戒を続けていかないとな。


「で、俺には何も聞いてくれないんです?」


 考え事に耽っていると、エリスティンから疑問の声が上がる。そういえば、彼からは聞いていなかった。報告会の様相になっていたので、同クラスである彼の事を無意識の内に後回しにしてしまっていたのかもしれない。


「勿論、忘れていた訳ではないよ? エリスティンはどうかな?」


「俺は上手くやるつもりですよ。ユーキスタス様にクラスの連中を統率する気が無いというのは分かったけど、流石に王子と同じクラスなのに馬鹿な事を仕出かす奴は居ねぇだろ。………ところで、平民の奴等について大分気に掛けていた様子ですが、何か懸念でも?」


 ちょこちょこ言葉遣いが入り乱れるの止めなさい。茶化したいのか真面目な話をしたいのか、どちらのポーズを取るのかハッキリしないと、私の取るべき態度もよく分からなくなるぞ。

 エリスティンが言うような、特段平民の子を気に掛けているつもりはなかったが、私が皆の自己紹介を熱心に聞いていたのが気に掛かったのだろうか。それとも、例のモニカ嬢の事か?


「彼等に対しては、今はまだ懸念は無いよ。私が考えていたのは、平民(彼等)に対する貴族(我々)の対応だ。エリスティンならば分かっていると思うが、彼等の貴族に対する礼儀(マナー)は修得途中のようだ。私達(貴族)は幼い頃から礼儀作法を叩き込まれているが、彼等(平民)はそうではないだろう。ならば、多少の無礼には目を瞑るべきだと私は思う。そうだね。皆には、それぞれのクラスメイトに“お願い”をして欲しい。彼等の礼儀作法(マナー)が不完全であっても、寛大な態度で許して欲しいとね。私が望むのは、“調和”だ。折角、私達は学友として巡り合ったんだ。ある程度は仲良くしていきたいじゃないか。………但し、度を過ぎるようだったら注意するように」


 寛大な措置を取っていると、勘違いする馬鹿が出てくるものなのだ。それが、貴族なのか平民なのかは分からないが。

 どちらにせよ、私が求める“調和”を乱す者に対しては“どうにか”しないといけないよね。


「それとは別に………いや、同じ問題かな? 私が心配しているのは、カストル。キミだ。王子()に対して、気安い態度を取る平民も中には居る………だろう。その者に対して過剰に反応しないように。それと、アイリーン嬢の手綱も上手く握っておくように。くれぐれも………くれぐれも、報告書に(したた)めるような事は起こさないように、ね?」


「重々承知致しました。………ところで、その言い方だと、既にユーキスタス様に無礼な態度を取った平民が居るという事でしょうか? そいつの名前を伺っても宜しいでしょうか?」


 そういう所だぞ。


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