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乙女ゲームだコレェ!!  作者:
第二章
29/52

29.必殺王子スマイル


 そうこうしている内に、私の番が回ってきた。まぁ、なるようになるだろう。


「初めまして。私は、ユーキスタス・フォン・エンドロフィアという。一応、王子という肩書があるが、ここでの私は単なる一生徒。変に畏まらず仲良くしてくれると嬉しい。今後3年間宜しく」


 ここで必殺王子スマイル。私は無駄に顔が良いので、こういう時に使うと大変便利だ。人の第一印象は顔で決まると言っても過言ではない。

 しかし、エリスティンは胡散臭そうな顔で見ている。彼は長年に渡る付き合いで、私の顔を見慣れているため王子スマイルが効きにくいのだ。まぁ、仮にも私の側近見習いであるため、言う事は聞いてくれるのだが。

 その他の面々には効果が覿面のようで、男も女も顔を赤くしている。

 笑顔を作るのは友好の証だからね。これで私の第一印象は良くなっただろう。

 さて、こうして王子()という餌を撒いたのだ。何処かに居るであろう主人公(ヒロイン)は、どう接触を図ってくるだろうか。

 その後も他クラスメイト達の自己紹介が続いていく。私は在校生と新入生の情報を事前にある程度得ているため、大体は誰が何という者なのかは分かっている。まぁ、流石に何処のクラスに配属されているのかは知らないが。

 彼等の情報を知ってはいるが、こうして彼等の口から自己紹介を聞くのは楽しい。書面上で把握出来る情報では限りがあるからね。

 但し、貰った資料に載っているのは在校生と貴族の新入生だけだ。平民の新入生の情報は載っていない。平民こそ、しっかりとした身辺調査が必要だと思うのだが、何故ここまで情報が無いのだろうか。

 いや、学院内で私自身が実際に彼等と触れ合う事で平民の内情を知っていけという事なのだろう。さもなければ、態々平民の情報だけを抜く意味が分からない。


「クラリス・フォン・ミルキナ。趣味は読書。無駄に騒がしくする奴、馴れ馴れしい奴は嫌い。宜しく」


 おや、クラリス嬢も同じクラスだったのか。しかし、自己紹介それでいいのか2号だ。好き嫌いを開示しておくのは良い事なのかもしれないが、流石に“嫌い”とだけ言うのはどうかと思うぞ。

 クラリス嬢は私の視線を感じ取ったのか、こちらをチラ見してくる。表情は無だった。

 しかし、数年経っただけでよく分からない方向に成長しているな。愛想を良くしろとは言わないが、あれでは他の生徒に対する印象は良くないだろう。あの挨拶文を誰に向けて言っているのかは兎も角としてだ。


 クラリス嬢の次の生徒が壇上に上がる。何処かで見た覚えのある顔に薄桃色の髪。………あぁ、入学式前に魔力が淀んでいた場所に居た女生徒か。


「モニカ………エラ・ミラースです。私は平民ですが、ミラー候爵様の推薦で入学させて頂きました。えぇと、聖属性の回復魔法が得意なので、怪我した時に役に立てると思います。宜しくお願いします」


「えー、学院内で許可の無い魔法の行使は学則違反なので、怪我した生徒は必ず保健室へ行くように」


 モニカ嬢の自己紹介に、シギンズ教師の注意が入る。確かに学院内での魔法の行使は御法度だ。恐らく、魔力暴走による事故防止のためと、過去にやらかす生徒が居たのだろうな。

 モニカ嬢の姓の“エラ・ミラース”とは、ミラー候爵家が推薦した者に貸し与えている名前だ。男は“エル”で、女は“エラ”だったか。

 ミラー候爵は“賢者の塔”所属の、叔父が言うところの生粋の魔法使い(人でなし)だ。

 人でなしではあるが、後進の育成に熱心であり、自領に住まう見所のある平民に教育を施しているらしい。

 そして、毎年数人程度をこの学院に生徒を送り出しているのだとか。確か、他にもミラース姓の生徒が数人居た筈だ。

 ところで、聖属性って何だろう。もしかして、未発表の属性か?

 ミラー候爵の性分は人でなし(あれ)でも魔法界の権威だ。無分類な無属性の中から、聖属性なる物を発見したのかもしれない。………まぁ、モニカ嬢の勘違いという線もあるが。


疑問なんですが、ほぼ無宗教な国で聖なる魔法って何なんですかね。

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