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乙女ゲームだコレェ!!  作者:
第二章
26/53

26.アンディ

 

 あの注意喚起から数ヶ月後、私達は王立貴族学院に入学する事になった。

 学院に通う生徒は、基本的に全員寮生活である。前世の学校ほど生徒数が居ないにしても、全生徒を収容する建物には限りがある。

 そのため、一部の例外を除いて公爵位から平民まで全員相部屋だ。勿論、その組合せは学院の職員によって綿密に協議され調整されている。公爵家と平民を同じ部屋に入れるなんて間違いは基本的にあり得ない。

 但し、その中でも王族だけは別だ。私だけは王族専用の個室で生活する事となる。部屋の位置は5階の角部屋らしい。流石に1階丸々王族専用の部屋にする訳にはいかないようだが、それなりに広いスペースを陣取っている。………まぁ、私個人の感想としては、私の世話のために働いているような召使いも居ない状態だと広すぎる部屋は必要ないんだが。

 5階は私とエリエリの部屋だけで占められている。彼等の部屋は王族の余り物………と言っては聞こえが悪いが、王族専用の部屋と比べると余りにも狭い。

 他の側近見習い達は大抵が4階に居るが、ドナテロだけは爵位の問題で他階に割り振られたようだ。情報収集という点では良い位置にいるのではと思わなくもない。


 今日は学院の入学式だ。入学式とか如何にも“乙女ゲーム”っぽいイベントだ。ついでに、私は入学前試験での首席兼王族という事で、新1年生代表挨拶とやらをやらされる事になっている。

 今は側近見習い達や婚約者のアンティローゼ嬢を連れて、件の講演会場へと移動しているところだ。

 ただ歩いているだけなのに、周辺からの視線が私に集まっているのを感じる。

 家の事情はよく分からないが、私は世間への露出が少ない。貴族であっても、私と直接会っている者は少数だ。

 エンドロフィア国民は、“ユーキスタス王子”という男が居るのは知っているが、顔は見た事が無いというのが殆どだろう。

 そんな訳で、初めて見る王子らしき者をそれぞれ観察しているのだろう。王家の威信を懸けている訳ではないが、余りみっともない真似は出来ないな。


 側近見習い達と雑談しながら、そんな考え事をしていたら変な場所を感じ取った。

 私は普段から、周囲に向けて極微小な魔力を展開している。これは、叔父から習った魔力のコントロール方法の一つであり、ついでに周囲の情報を感じる事が出来る、レーダー的なものだ。

 学院の敷地内の魔力は標準的に整っているが、一カ所だけ淀んでいる場所を発見した。周りが綺麗に整っている中で、何故その場所だけ魔力が淀んでいるのか………。凄い気になる。その場所は、ここからそう離れていない。


「すまないが、用事が出来た。大した事じやないから、皆は先に行っておいてくれないか?」


 私の言葉に首を傾げる面々。訝しげな視線が刺さる。


「分かりましたわ。お早く戻って来て下さいね」


 アンティローゼ嬢は訝しげにしながらも、何故と問わなかった。私を信頼している証であればいいが、また変な事をやり出したとも思っているのかもしれない。


アンディ(アンティローゼ)の言う通り、早く戻って来てくれよ? さもないと、次席のエリオットが挨拶しなきゃいけないからよ」


その呼び方(アンディ)は止めて下さいませ」


 エリスティンが茶化してくる。まぁ、ちょっと行って確かめるだけだ。

 ついでに、魔力の乱れも直しておいた方が良いだろう。一部が淀んだところで何もならない筈だが、何か不具合が起こる可能性が無い訳ではない。

 彼女達と別れ、件の場所へと行ってみる。それは林の内部にあるようだ。………おかしいな。木々が集まる場所は自然エネルギーのお陰で、余程の事が無い限り魔力が淀むような事は無い筈だ。

 魔力を辿り、件の場所へと辿り着いた。そこにあったのは、一本の枯れ木。立ち枯れしているのかどうかは分からないが、さっさと伐らないと危なくないのか?


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