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乙女ゲームだコレェ!!  作者:
第一章
20/52

20.乙女ゲームだコレェ!!


 さて、改めて私の周りの状況を整理しよう。“魔法”という前世には存在しない要素が出て来た事から、今世は過去の地球という事ではないという事が分かった。何を言ってるんだと思われるかもしれないが、これは私にとっての大きな発見である。

 まず、この世界についての諸々を確認していこう。

 この世界………とりあえず、エンドロフィア国の1年は365日で、1日は24時間だ。今まで私は今世を過去の地球だと思っていたので、余り違和感は感じていなかった。しかし、今回、ここは地球ではなく異世界である事が判明した。

 それにも関わらず、日は地球と同じなのだ。恐らくこの世界も地球と同じく、何処かの星系の惑星なんだろうが、地球と全く同じ周期の惑星が存在するのだろうか?

 宇宙は広い。人類が観測出来ていない惑星もまだ多く存在するだろう。その中に地球と全く同じ惑星が無いとは言い切れない。しかし、私の胸中に渦巻く不審感、不安感は何だろうか。

 私はサブカルチャーには比較的明るい方である。若い時分は、所謂オタク文化に慣れ親しんだ世代だ。いつの間にか、オタク文化はサブからメインに成り上がったていたのだが。

 そんなサブカルには、“異世界転生”もしくは“異世界転移”なるジャンルが多く存在していた。転移はさておき異世界転生というジャンルでは、現実世界では卯建の上がらない冴えない主人公が、神の手違いによって死亡し異世界に転生。そして、転生先でチートと呼ばれる特典(ボーナス)を元に異世界を無双するという流れのやつだ。

 現実世界で上手くいってない奴が異世界へ行った所で高が知れていると思うのだが、世間一般はそうではないらしい。いや、そうあって欲しいという願望か。

 まぁ、それはさておき。この異世界転生の“異世界”の部分は多種多様だ。地球とは全てが違う世界な事もあれば、所謂ゲームの世界へ行く事もある。RPGだったり、幻想世界(ファンタジー)だったり、終末世界(ポストアポカリプス)だったりだ。

 その中でも“乙女ゲーム”なるものがある。大体のモノは、悪役令嬢モノだったり、ざまぁ的なモノだったりと割と幅広い分野だ。と言っても、私はよく知らない。大分昔に娘がハマっているらしいというのを妻経由で聞いただけだ。

 少々気になって調べた程度でならば、“乙女ゲーム”では見目麗しい男性を、主人公である女性が攻略。つまり、恋愛関係にもつれ込ませるといった流れのゲームだ。

 ………まぁ、つまり、だ。


「乙女ゲームだコレェ!!」


 様々な要素を重ねて検討した結果。私は、この世界が所謂“乙女ゲーム”の世界ではないかと当たりを付けた。

 そう判断せざるを得ないのは、私の周りの環境が出来すぎている事にある。

 自分で言うのはなんだが、私は王子という社会的地位が高く、容姿端麗かつ身体スペックも抜群で、ファンタジー要素である魔法関連に至っては他とは一線を画した才能を持っている。学力は………よく分からない。何分、比較対象が居ないもので………。

 そして、私の周囲に居る者も高スペックの者ばかりだ。祖父母に父母、叔父叔母と顔面偏差値が高過ぎる。まぁ、王族に顔が良い人が多いのは、地球でも異世界でも変わらないかもしれないが。

 側近見習い達も高スペックだ。彼等は爵位の高い貴族子息であり、顔面偏差値も高く、伝え聞く限り学力も高いときている。私の側近として恥ずかしくない能力を身に着けるためとか言っていたが、割とオーバースペックだと思う。

 まぁ、そんな訳で、ここまで出来過ぎているのなら、私が“乙女ゲーム”だと疑ってしまうのは無理からぬ訳で。

 ただ問題は、仮に“乙女ゲーム”だとしても、私には何というゲームなのか皆目見当が付かないという事だ。何しろ私は乙女ゲームをプレイした事が無い。

 そんな訳なので、今後の予想等を立てられる訳が無いのだ。

 この世界(ここ)が乙女ゲームだとすると、私は間違いなく攻略対象だろう。という事は、私の婚約者であるアンティローゼ嬢は主人公(ヒロイン)の邪魔をする悪役令嬢といった役回りになる筈だ。

 私の平均以下の知識では、悪役令嬢というのは物語の終盤で、主人公に対する妨害行為を詳らかにされ、元婚約者である王子や側近達に断罪される。悪役令嬢に待っているのは、死罪や追放刑、もしくは修道院送りになる事が習わし(テンプレ)だ。

 つまり、私が主人公(ヒロイン)とやらに籠絡されたら、婚約者であるアンティローゼ嬢がそのような目に遭う事が必至なのだ。折角決まった可愛い婚約者をそんな役回りにさせてたまるか。というのが私の見解である。

 そんな私に出来る事とは何か。それは、アンティローゼ嬢との信頼関係を築く事である。お互いが想い合っていても、相互不理解で思いがすれ違う事はままある。故に、アンティローゼ嬢との仲を深めるためのコミュニケーションが不可欠だ。

 間違っても彼女を悪役令嬢にさせないため、私の奮闘が始まった。

 とまぁ、そんな決意をしてみたが、特に変わった事をやる気は無い。あるのかどうかは知らないが、私はこの世界の物語(シナリオ)を知らないのだ。分からない以上、最善と思われる手段を取るしかないのだが………差し当たっては定期的に、お茶会という名の飲みニュケーションの場を設けるかな。


大事な事なので2回言わせました。

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