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乙女ゲームだコレェ!!  作者:
第一章
13/53

13.9歳になりました


 あれから4年経ち、私は9歳となった。

 あれからも色々あった。側近候補達の候補が外れ側近見習いになり、祖父が引退し父が正式にエンドロフィア国王へと就任した。

 今もハーバリアス講師の授業は続いている。

 ハーバリアス講師は関係ないが、朝の“軽い運動”が“軽い稽古”になった。“軽い運動”の時は特別に任命された兵士が見てくれていたのだが、彼と交代して騎士団の元指南役が今後の運動及び、軽い護身術程度の剣の指南をしてくれるようになった。と言っても、まだ身体が出来上がっていないので軽い稽古に留まるが。

 王族の定番、帝王学も追加された。これは、ハーバリアス講師ではなく、前グランデスブルグ公爵が教鞭を取る事になった。元宰相にこんな事やらせていいのかと思ったが、本人は俄然乗り気だった。私の勉学ついでに祖父と茶をシバくために来ているらしく、お子様は特に気にしないでいいそうだ。………まぁ、絶対それだけじゃないんだろうな。


 今日も月1の晩餐会だ。父と祖父で代替わりしたが、相変わらず私の横には祖父が座る。

 父が王となった事で叔父は王弟となったが、相変わらず賢者塔に引き籠もっているらしく、近々王位継承権を破棄するための手続きを進めているのだとか。


「ユー君もそろそろ10歳になるのだな。うぅむ。あれ程小さかったユー君がもう10歳とは………。時が経つのは早いな」


 祖父のこの感慨深げな発言からして、今世の10歳は何かの節目なのだろうか。七五三は過ぎたし………まさか、元服式?


「10歳になったら、ユー君の婚約者を決めなければなりませんからね。それと、魔力判定も行わなければ」


 祖父&祖母はうんうんと頷いている。婚約者? 魔力? 婚約者はギリ分かるとして、魔力?って何だ?

 私が頭に疑問符を浮かべているのが分かったのか、叔父が補足を入れてくる。


エンドロフィア(この)国は、全国民に対して10歳という節目に自身の魔力判定を行わせているんだ。これは、10歳前後までは魔力が安定しないせいで、判定に“揺らぎ”が検出されるせいだと言われているんだよ。だから、ユーキ君もその内、魔力判定を行う事になるからね」


 なんという事でしょう。以前レイ君から聞いた“魔力”とやらは実際に存在する?のか? いや、魔力判定とか言ってるが、実際は別の数値を測っているのかもしれない。

 それに、私は転生して過去に飛ばされてきたんじゃないのか? それなのに、魔力とか………。如何にも異世界(ファンタジー)風ではないか。流石に、それは無いと思う。無いと信じたい。さもなければ、私が痛い人みたいになってしまうだろう。


「婚約者は公爵か侯爵辺りから候補を選別する事になるだろう。本来ならば、グランデスブルグの所が歳も近いし顔見知りだしで良かったんだが、毎回あの爺(前公爵)が圧力掛けてくるからな………。まぁ、近々顔合わせの機会を作るから、気が合う者を選ぶといい」


 グランデスブルグの子というと、ジュリエッタ嬢の事か。確か、彼女にはレイ君という婚約者が居る筈だ。王命で別れさせるみたいな事は流石に出来ないんだろう。それに、前宰相の圧力もあるからおいそれと打診する事も出来ない、か。

 しかし、気に入った者を選べ? こういうのって政略結婚的なモノなんじゃないのか? 拒否権の無いお見合いみたいな………。


「今は国内事情も安定しているからな。相応な身分の普通の令嬢を娶れば良いだろう。それが、好き合った者同士なら尚良しという事だ。何を隠そう、私とマリアンヌも出逢いこそ政略結婚だったが、それからお互いを───」


 父の惚気話が開始される。それを微笑ましげに見ているのは祖母と叔父だけだ。その他の面子は我関せずを決め込んでいる。

 そういえば、未だに未婚の叔父はどうなのだろうか。彼にも縁談があったりするのか? いや、叔父は継承権がどうたらと面倒臭いらしいから、わざと結婚を見送っているのだとは思うが。

 私の婚約云々は兎も角。外の人間と知り合えるのは良い機会だ。今の私は正真正銘の箱入り息子だからな。同年代の知り合いが例の側近見習いしか居ないから、純粋に楽しみなのだ。


「ニコニコしてるけど、今から女の子に会うのが楽しみなの? いやぁ、ユー君も隅に置けないねー」


 隣に座っている叔母が茶化してくる。そんなに私の顔は崩れていたのか? 違います。叔母上。“女の子に会うのが”ではなく、人と会うのが楽しみなのです。

 そんな叔母には婚約者が居る。結婚するまでに色々と準備する必要があるので、今はその準備期間だとか。そんな訳で、叔母とこうして気軽に会えるのは残り少なかったりする。

 まぁ、今生の別れではないとはいえ、段々と別れの時間が迫って来ているようで少し寂しい気持ちもある。叔母も同じなようで、私に必要以上に構ってくるのも、その寂しさの穴埋めなのだろう。

 ところで、10歳で婚約って早くない? 父は好き合った者同士で〜とか言ってるけど、10歳で恋愛なんて理解出来るのだろうか。いや、女子は精神的な成熟が早いというから、相手側は問題ないかもしれない。但し、問題は私の方である。10歳の女子を見て恋愛対象に出来るのか、甚だ疑問である。

 この国の成人は18歳らしいのだが、成人と同時に結婚という事にしても婚約期間が8年もある。そんなに長続きするか? それとも、叔母のように準備期間が長めに取られているとか?


「ユーキスタスには私の後を継いで貰うつもりだ。つまり、次期エンドロフィア国王だな。よって、その婚約者には王妃教育を施さなければならない。相応の身分の者というのはこのためでもある。まぁ、身分が足りていても性格的に終わっている奴は居るんだが。………だが、安心しろ。お前に紹介する令嬢は、厳しい評価基準を及第点以上でパスした者が選ばれる。つまり、能力的には問題ないから、後はユーキスタスの好みで決めろ。ただ、その時だけで決めなくてもいい。あくまでも顔合わせだからな」


 側近候補達の顔合わせをやったら、ジュリエッタ嬢を除く全員が側近見習いになったが? その理論で行くと、婚約者候補の顔合わせを行ったら、全員と婚約関係になるとか無いよな? 流石にそれは私が………と言うより王家がクズ過ぎるから無いか。婚約者候補をキープとか、許される行為ではないぞ。


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