表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームだコレェ!!  作者:
第一章
11/53

11.3人いる!


 このお茶会に参加している子供は、私含めて6人居る。この内の3人とは既に友達となったので、残り2人を攻略しに………ちょっと待て。3人居るぞ。どうなってんだ。

 まぁ、いいか。イレギュラーな事が起きても上手く対処出来るかのテストも兼ねているんだろう。悩む事は後に回して、気にせず行くか。


 庭園の一角で花々を猛然とスケッチしている子供がいる。凄い集中しているようだが、話し掛けても大丈夫なんだろうか、コレ。


「やっほ〜、エリエリ〜。王子様相手の先制攻撃は上手くいった〜? うーん、その様子だと懐柔されちゃったようだね〜。残念〜」


 またえらく変なお子様が出て来たな。スケッチする手を止めず、こちらをチラリと見ただけで描く手を止めていない。間延びした話し方だけど、言ってる事と態度が不敬過ぎるぞ。


「今、変な奴だな〜って思ったでしょ? でも、それで間違ってないよ〜。我が家は変人の集まりらしいからね〜。そうそう、僕はカストル・フォン・ラール。“賢者塔”を実質的に管理している家らしいよ〜。以後、ヨロシク〜」


「ユーキスタス・フォン・エンドロフィアだ。“賢者塔”には叔父上も世話になっている。叔父上が安泰として暮らしていけているのは、偏にラール家のお陰だろう。これからは、私とも良くしてくれると嬉しいな」


 私の言葉にピクリと反応し、スケッチする手を止めこちらへと振り返る。チラ見した時にも思ったが、非常に整った顔をしている。子供顔のお子様でコレなのだ。カストル君は成長した時はもっと凄い顔になりそうだな。私も人の事を言えない顔面しているが。


「ふぅん? 母様の思惑はよく分からないけど、変人()と仲良くしても良い事なんて無いよ〜?」


 変人? あぁ、天才と変人は紙一重とよく言う。スケッチされた花々は美しく、やや偏執的までに瑞々しく描写されていた。ここまで正確に描写するのならば、私に対する態度がおなざりになっても仕方ないのかもしれない。


「まぁ、いいや。僕は美しいモノと面白いモノが好きなんだ。そういう意味でも君は合格点。これから宜しくね」


 カストル君はそう言って左手を差し出す。………仮にも王子という肩書を持つ私に対する言動といい、行動といい、喧嘩売ってるのかな? と思うものの、一先ず握手に応じる。カストル君はニッコリと満面の笑みを浮かべた。うーん、邪気は無いように見えるから、もしかしたら左手で握手の意味を知らないのかもしれないな。

 握手の後、他のお子様への挨拶周りにカストル君も誘ってみたが、スケッチがまだ途中との事で断られた。………うーん、自由。


「カストルに気に入られて良かったな。ん? 左手で握手しただろ? アイツと握手する時に利き手でやっただろ? ドナもそうだったからな」


 カストル君は友愛の証として、握手を求める癖があるらしい。そこで差し出すのが彼の利き手か否かで、気に入られているかどうかが判断出来るらしい。エリオットの言い方だとドナテロ君はカストル君に気に入られているようだが、エリエリ兄弟はどうなのだろうか。


「俺達は右手だったぞ」


 一応、握手はしてくれるので友達認定はされているようだが、別に好きではないってところか。………まぁ、性格的にお互い苦手そうだしな。


 残るお子様は2人だ。その2人は子供用のティーテーブルで茶をシバいているようだ。挨拶するのに手間が省ける。


「俺、アイツ苦手なんだよ………。毎回正論ぶつけてくるから、相手するのが面倒なんだよな」


 このエリエリ兄弟にも苦手なモノが存在するとはな。双子パワーで強引に解決するみたいなところがあるから、正論なんて理不尽で破壊しそうなものだが。

 件の2人は礼儀正しく椅子に座り、私達を待ち構えていた。………片方は本から顔を上げないが。

 もう片方の子供の後ろに青年が待機しているのが気に掛かる。………彼は一体、誰なんだ? このお茶会には特別な理由が無い限り、侍従達は別室待機となっている筈だが。

 侍従と思わしき青年の前に居る子供が口を開く。


「お初にお目に掛かります。私はジュリエッタ・フォン・グランデスブルグ。現宰相の子と言った方が通りが良いでしょうか。本来ならば、こちらから出向くのが臣下としての務めだと存じますが、生憎私は足が悪く………」


 グランデスブルグ? 晩餐会の時に祖父が話していた気がするな。確か、余りにも優秀過ぎたが故に、早々にグランデスブルグ公爵として当主交代して宰相に収まった人が居るとか何とか。

 そして、ジュリエッタ君がその噂の宰相の息子という訳か。例に漏れず顔がいい。儚げな美人といったところか。………おかしい。まだ5歳だぞ?

 そして、私が事前に聞いていた参加者リストには彼の名前は載っていない。つまり、ジュリエッタ君が存在しない筈の6人目という事になるな。飛び入り参加なのかな?

 しかし、足が悪いとは何だ? 怪我でもしているのだろうか。

 ジュリエッタ君は膝掛けを着用しており、何がどう悪いのかは伺い知る事は出来ない。足が悪いから侍従を侍らせている? どの程度悪いんだ?


「ユーキスタス・フォン・エンドロフィアです。御父上である宰相には、私の祖父や父上がいつもお世話になっている。………それで、不快になったら申し訳ないのだが、その足は何が悪いのだろうか?」


「はぁ? ふざけんなよ。それ以上聞くか普通? 貴族界隈じゃあ有名な話だろうが。それとも分かってて聞いてるのか?」


サブタイオマージュ元の、11人いる!は全人類読むべき。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ