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第40話  VSリュード・ヴェイン・アスティーナ

 俺とリュードの決闘が行われる時間が来た。

 俺、リュード、そしてシャルはグラド闘技場の、地上から4、5メートルは高く置かれた、バトルステージ中央に集結する。


「……って、なんでシャルがいるんだ!」


 シャルがいたことに気づかず、しれっと立っているシャルに俺はツッコむ。


「いや、二人が上がって来る前からステージ中央にいましたよ。審判やれってリュード様から言われてるんですよ。そんな影薄いですかね、私?」


 シャルは最初からいたのか。いや、本当に気づかなかった。影が薄いからとかではなく、俺は今、シャルに気づかないぐらい緊張しているのだ。


 飛び交う歓声と足踏みによる地鳴りで、グラド闘技場は活気に満ち溢れていた。

 そんな大歓声の真ん中にいるのが、本当に俺でいいのだろうかとすごく心配なのだ。

 はっきり言って吐きそう。緊張で胃が痛くなるって本当にあるんだな。


 目の前にいるリュードは無敗の英雄。それを相手にして俺の勝ち目は……皆無だろうな。

 人前に立つのが苦手とかは元々思って無かったが、こんな大勢の人の前でやられて、恥かくと思うと、身震いが止まらない。


「なんだ、緊張しとるのか? 若いのに情けないの〜」

「悪いかよ! ここまで大事になるとは思って無かったんだわ。台座の件は悪かったよ」


 俺は一礼して、謝罪する。

 ムカついたとはいえ、回転丸を曖昧な説明で投げさせたのは俺だ。

 悪いことは悪いと受け入れて、リュードに詫びる。


 「もうよい、そんなことは。今はこの場を楽しめ。安心せい、手加減はしてやるから。お前は修行と思って全力でこい。ぶちのめしてやるから」


 リュードは笑いながら言ってる。

 時間が経って、リュードも怒りが納まったのだろうか?

 いやでもそれって、死なない程度にボコされるってことだよな。ぶちのめすって言ってるし。

 笑ってるけど、やっぱまだ怒ってんのか?


「大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないです」

「ですよね。では位置について」

「ですよねって」


 シャルはただ、審判として選手の状況を確認する。

 心配はしてくれるけど、止めてはくれないんだな、シャルよ。

 でも、ここまで来てしまったんだ。腹をくくるしかないか!

 ヨヨからアドバイスはもらったけど……やりたくは無いんだよな〜。

 俺は嫌々ながらも、戦う覚悟を決める。


 俺とリュードはシャルの指示の元、距離を取り、シャルの合図を待つ。

 まだか……まだなのか…………


「試合、始め!」


 キタ、先手必勝だ!


「アシッド!」


 俺は開始の合図と同時にアシッドを放つ。

 リュードは近接格闘が得意らしい。なら遠距離から攻めてやる。さぁ、どう出る!


 リュードを覆いつくすほどのアシッド。

 俺はリュードがどう避けるのか、どの程度のスピードなのかを見極めたい。


「ほうほう……ほれ」


 リュードの気のない掛け声と共に、パァァーーーーン!と、前に聞いたことのある破裂音が聞こえる。

 それと同時に、俺の放ったアシッドが空中で四方八方に飛散していくのを確認した。

 俺は前にスライムと初対峙した時と違い、リュードが今回何をしたのか、しっかり目に入っていた。


「回転丸もどきか!」

「どうだ、すごいだろ」


  リュードは守るでも避けるでもなく、指先から放った回転丸もどきをアシッドにぶつけて、飛散させたのだ。

 リュードはつい1時間前に教えた技を、自分の技に昇華していたのだ。


「もしかして1時間時間空けたのって……」

「そうよ。この技を完全に会得して、お前さんにぶつけてやるためだよ! せっかく覚えたんだ。この技だけでお前さんをしてやるわい!」


 リュードはこの試合、回転丸もどきだけで俺を倒すと宣言した。

 また舐めたことを言ってると思ったが、舐められてもおかしくないと理解はしている。

 リュードが桁違いの強さであるのは、この数時間で身をもって知ってしまったのだ。

 悔しいが、あいつは天才の部類。俺とは違う。

 でも、今はなげいてる暇じゃ無い!


 リュードは指先に力を込め、次弾を装填。今度は指5本に、それぞれ回転丸を作り出した。


「次はどうだ。それ、そーれ、それ!」


 指先に浮いている回転丸もどきは1つ、また1つと5連続で俺に向かってくる。

 ステージ上には隠れる場所は無い。

 アシッドを使ってもしのげるのは1つ。残りの4つは確実に避けきれない。だったら最初から逃げるしか無い。

 俺はステージ上をジグザグに走り、回転丸もどきの直撃は避ける。

 だが、地面に触れた回転丸もどきは、地面を破裂させ、石のつぶてを俺にくらわせる。

 ダメージは大したこと無いが、これを続けるだけでは、ただ痛ぶられるだけだ。


「逃げ回っても勝ちはないぞ。ほれ、次行くからな」


 リュードは両手に力を溜める。両手の指先には次第に回転丸もどきが出来上がって行く。

 おそらく次は10個の回転丸もどきが飛んでくるだろう。

 どんな練習をしたら、そこまでできるようになるんだよ!


 このままじゃ、逃げきれない……よし。

 やりたくねーけど、やるしかねーんだな。

 俺はヨヨと控え室で実験して編み出した、新技を使うことを決意する。


「アシッド!」

はじめましてゴシといいます。

読んでいただきありがとうございます!

この話を読んで面白そうって少しでも思ってくださる方がいてくれると嬉しいです。

まだまだ話は続いて行きます。これからも更新して行きますのでブックマークの方もよろしくお願いします!


下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

応援されてると思うとやる気めちゃ出てスラスラ書いちゃいます。

これからも愛読と応援のほどよろしくお願いします。

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