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第31話 役職がどうした?

 黒塗りのスキルが何か。

 それは俺が、普段自分自身に聞いている疑問。

 黒塗りスキルのことを知っているのは俺、ヨヨ、そしてラック村のジルたちだけ。

 しかもヨヨたちは、俺が言ったその黒塗りを、俺の冗談だと思っているのだ。

 それなのに、黒塗りスキルの話ががユウリから飛んできたのはどうしてだ?


「なんじゃ、その黒塗りとは?」


とリュードたちも聞いてくる。

 なんじゃと言われましても、知らないことは知らないとしか言いようがない。


 隠し事をしていたというのもまずいかもしれない。

 なんて答えたら良いか考えるため、すこし話しをそらすことに。


「ユウリは何で黒塗りスキルって言葉を知ってるの?」


 俺はユウリに質問を仕返す。

 周りの貴族たちがユウリの問いに先に答えろと俺を詰める。

 しかしユウリは俺の問いに即座に答えた。


「私が知ってた訳じゃなくて、この子が教えてくれたの」


 ユウリは手を前に出し、手のひらに乗せた小さな生き物を俺に見せてくる。

 見た目はヨヨを太く、小さくした、二頭身ぐらいのピクシー。

 おでこには小さなハートがくっついている、マスコットキャラのような生き物。


「この子はね、ピットちゃんって言うの。私のアーツで、いい子なんだー」


 ユウリは自慢げにピットちゃんを見せびらかし、可愛い可愛いと言いながらピットちゃんに頬擦りする。


 俺もあんな風に頬擦りされたい!

 って違う違う、今考えるのはそれじゃない。

 ユウリのアーツって言ってたよな?

 アーツって生き物も出せるのか?

 ユーリの言うことに頭が追いついていなかった。

 それを察して、ユウリは自分のアーツについて説明する。


 ユウリのアーツ名は『小さな幸せの天使』。

 ハートの加護から派生したアーツで、その能力は一日一回だけ、ユウリが他人を幸せにするための行動をピットちゃんが耳打ちしてくれるというもの。

 なんてユウリらしい能力なのだろうか。

 そしてその他人というのは任意で選べるらしく、今回は俺の幸せになることをピットちゃんから助言してもらったのだという。

 つまり、黒塗りスキルについてこの場で聞くことが、俺の幸せに繋がるというのだ。


 ユーリの能力については、一応理解した。

 しかし黒塗りスキルを持ってるとバラすことが、俺の幸せになるというのはどういうことなのか?

 悪い方向に傾くとしか思えないのだが。


 ユーリが能力の説明を終えると、次はやはり俺に番が回ってくる。

 周りから答えろ光線が俺に集まる。

 だが時間を作っても良い回答はでない。

 この状況どうすればいいんだよ、ユウリ。


 俺がどうしようも無くなった状況を見て、今度はシルビアが俺に質問をしてくる。


「シエロ様、よろしいですか?」

「はい、なんでしょう?」

「黒塗りスキルに関しては『言いたくない』ではなく『言えない』のではないですか?」

「えっと……そ、そうですね言えないですね」


 うん、そうだね。言えないね

 だってわからないんだもん。

 あれ? さっきもこんな会話あったな。

 シルビアの質問に俺は『言えない』と答える。


 その回答は、たまたまではあるが、正解だったようだ。

 シルビアはヨヨの時のように、俺の返事を聞き、すぐにこの議論は終わりだと言う。

 そしてシルビアはヨヨと俺をシルビアの寝室に連れて行くと言い出したのだ。

 リュードや貴族たちはまだ納得のいかない様子であったが、シルビアの言うことにはやっぱり逆らえないのか。

 皆最後には身を引き、結局俺とヨヨはシルビアに連れて行かれることになるのであった。



◇◇◇◇◇



 シルビアの寝室に到着する三人。

 寝室の真ん中に置かれた豪華なテーブルにつき、三人で話し合うことになる。

 連れて来られたのはいいけど…何の話をするんだろう?


 なんかどさくさに紛れて勇者の加護にポイント割り振る話どっかいっちゃったけど。

 もしかして、これがユウリのアーツによる幸運なのか!

 理由はよく分からないが、ユウリのお陰で強制的にスキルポイントを割り振るというイベントを回避する結果になったのだ。

 ありがとう、ユウリ。愛してる!


「なんだか嬉しそうですね、シエロ様」


 顔に出てたのか、シルビアはニコニコしながら俺に話しかけてくる。

 その表情は王の間にいた時の冷たい雰囲気とは違い、ユウリの優しい感じに似ていたのだ。


「シルビア様はそうやって笑ってる方が俺はいいと思いますよ」

「あら、ありがとう」

「お、ナンパか、シエロ。ユウリじゃなくてシルビアさんの方に行くか?」


 純粋な気持ちで言ったのに、ヨヨは茶化してくる。


 最初は強制連行されて、緊張感もあったが、何気ない会話で俺とヨヨは、シルビアと楽しく会話できていた。

 お互いの親睦を深める、何気ない日常会話ができる、穏やかな空気感のテーブルだった。


 だがシルビアが会話の中で『役職』という言葉を発した瞬間、ヨヨの空気が一気に変わり、シルビアも王の間にいた時のキリッとした顔つきになる。


「やっぱり守護神は『役職』なんですね」

「……そうだ」


 シルビアの問いにヨヨはねっとり答える。

 うん、そうだね。ヨヨのステータスプレートに表示されてたし、守護神は役職なんだろうな。

 そういや、俺の勇者も役職なんだよな。

 でも、それでなんでこんな重い空気になるんだ?ただのキャラ職の話だろ?


「シエロ……あんまり深く追求するのはよくないが、多分シルビアさんも『役職』持ちだぞ」

「今更隠してもしょうがないし。そうね、それぐらいなら話せるわ。私も『役職』持ちよ」


 役職持ち……ん、まぁ女王様ってのも役職っちゃ役職なのかな?

 ……だからなんなんだ?

 役職を持っていることがそんなに重要なことなんだろうか? みんな役職ってあるよね。

 俺の役職は勇者。

 ヨヨは守護神でシルビアさんは女王なのかな?

 あと役職と言えばフミヤ。あいつの役職は文化人と魔王。

 ウレールってゲームみたいな世界だから、キャラに役職があってもそんなに驚くことではないと思うが。

 

「わかってる。これ以上は聞かない」

「ならいいわ。とりあえず私たち三人は仲良くしましょうね」


 話がよくわからないまま進んでる気が。

 まぁ仲良くするならいいことか。

 同盟ってことかな。

 でも、なんでこの三人?


 状況が飲み込めないが、仲良くすることはいいことだと思い、シエロはシルビアの言葉を受け入れる。

 この時のシエロは、今行ってる会話の重大さを全く理解していなかった。

 シエロがこの『役職』という単語の本当の意味を理解するのは、まだ先の話なのである。

はじめましてゴシといいます。

読んでいただきありがとうございます!

この話を読んで面白そうって少しでも思ってくださる方がいてくれると嬉しいです。

まだまだ話は続いて行きます。これからも更新して行きますのでブックマークの方もよろしくお願いします!


下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

応援されてると思うとやる気めちゃ出てスラスラ書いちゃいます。

これからも愛読と応援のほどよろしくお願いします。

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