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第26話 再会

 氷塊が地面に刺さり、氷が散り散りになるのを見たヨヨは、シエロの姿を確認しようとする。

 だがヨヨの目には粉々になった氷の破片しか映らず、シエロの姿はそこになかった。


「本当にやっちまったか?」


 ヨヨは恐る恐るシエロのいたであろう位置に飛んでいく。

 だがやはりシエロの姿は見当たらない。

 まるで蒸発したかのように、シエロは消えていなくなってしまったのだ。


「やばいやばいやばい。そんなつもりじゃなかったのに!だってまともにくらうとか思わないじゃん!避けろよ、ちゃんと!」


 ヨヨは状況を飲み込み、慌てふためく。

 本当のところ、ヨヨはシエロを殺める気などさらさらなかったのだ。

 悪役になって、落ち込んでるシエロと戦い、わざと負けてやれば、シエロの自信も回復して立ち直ると思ったのだ。


 だがヨヨの予定していたこととはかけ離れた結末になり、ヨヨはどうしたらいいかわからなくなる。


「やばいな……ジルたちになんと言おう」


 散り散りになった氷の破片をじっと見つめ、ヨヨは後悔するのであった。




◇◇◇◇◇




「勇者殺しとか……守護者としてどうなんだ。でもあのやり方でないとあいつ戦えなくなりそうだったし。クソっ、なんて言えばいいんだ」


 スラ洞窟の細い道の中、ヨヨは地上に戻りながら自分がどうするべきかを考える。

 ジルたちには事故にあったと言えばなんとかなるか?

 氷の破片見たら俺がやったってバレるな。

 いや、ジルたちがあの場所に戻る頃には溶け終わってるかな。

 はぁ、ジルたちどう思うだろう。


 進んでは止まり、考える。ヨヨは永遠とそれを繰り返しながら少しずつ地上に近づいて行く。

 ジルたちは誤魔化せたとしてもアスティーナの人間たちはどうする?

 確かシエロは明日迎えがくるとか言ってたな。

 事故って言って信じてもらえるだろうか。

 いや、側にいたのに勇者を死なせた時点でなんかしらの罰とかに掛けられるんじゃないか?

 ……やばい、本当どうしよう。


 色々と考えた結果、ヨヨは自分が処刑されるところまで妄想が膨らみ、動かしていた羽を止める。


「ラック村に戻るのすら危ういか……もういっそラック村に戻らずに別の場所に行くか?」


 ヨヨはシエロを殺めてしまったことには後悔しているものの、自分のことが心配になり、逃げ出してしまうかと考えていた。そんな時


「……ヨ」

「……?」


何か声がした気がする。

 ヨヨは後ろを振り返る。

 しかし誰もいない。


「……気のせいか?」

「……ヨヨ〜」

「!?」


 ヨヨははっきりと耳にする。

 トンネルの中、細々とした声で自分の名前が呼ばれる。

 ヨヨは怖くなり、ゆっくりと地上に向けて飛び立とうとする。


 ……カタン……カタン

 飛ぶ直前、何かが目の前を転がり落ちて行くのが見えた。

 ヨヨはその落ちてきた方角に目を向ける。

 すると1つ…また1つ、カタンカタンと壁に打ち付けられながら、トンネルの中でヨヨに向かって落ちてくる。

 そして今度はその落ちてきたものがはっきりと見えた。


「魔鉱石……なんで?」


 ヨヨは自分の目の前を転がり落ちて行く魔鉱石を見て不審に思う。

 今のヨヨにはスライムに対する敵意は無い。

 つまりスライムから攻撃されるということはないはずなのだ。


 たまたま魔鉱石が落ちてきただけだと思いたかったが、そんなわけもなく、時間と共にどんどん落ちてくる魔鉱石は増えていく。

 身の危険を察したヨヨは羽を広げ、一度洞窟の奥に逃げようと考え、飛び立つのだが

 ザッ、ザザッ、ザザザ、ザザザザザザー

ものすごい勢いで何かが近づいてくる。


「すごい早さだ、逃げきれないか…よし」


 次第に近づいてくる物の音の早さから、自分のスピードでは逃げ切らないと思い、ヨヨは迎え打つと決め、戦闘の構えをとる。


 自分の輝きを頼りに地上から向かってくる何かを見極めるため、ヨヨは目を凝らす。

 そして視界に入ったとたんヨヨは恐怖する。


「ヨヨーーー!!!」

「シエロ!」


 なんと地上から落ちてきたのはクリスタルスライムを抱き抱えたシエロだったのだ。


「よかった。よかったよ、お前生きて…ってうわぁ、何すんだシエロ! ……え、シエロ?」


 感動の再会と思ったヨヨだったが、そんなのはすれ違い際の一瞬。

 シエロはクリスタルスライムの体から魔鉱石をもぎ取り、ヨヨに向かって投擲を続けるのだった。


「許さん許さん許さん許さん、ヨヨ、ヨヨ、ヨヨ、ヨヨー!」


 人が変わったかのように、シエロはバリバリの戦闘体勢。

 ヨヨがやめろと叫んでもひたすらに魔鉱石をヨヨ目掛けて投げる。


「やばい、完全にキレてる。シエロごめんって。本気じゃなかったんだよ〜」

「本気だろうが手加減してようが一緒だろ!」

「違う、そっちの本気じゃなくて、ってぎゃぁ!」


 頭に血が上り過ぎているのか、ヨヨの言葉は全くシエロには届かず、シエロはただヨヨの息の根を止めることだけ考えていた。

 どうしようもないと思い、ヨヨはシエロが落ち着くまでひたすら逃げるのであった。


(………ヤルヤツダナ)



はじめましてゴシといいます。

読んでいただきありがとうございます!

この話を読んで面白そうって少しでも思ってくださる方がいてくれると嬉しいです。

まだまだ話は続いて行きます。これからも更新して行きますのでブックマークの方もよろしくお願いします!


下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

応援されてると思うとやる気めちゃ出てスラスラ書いちゃいます。

これからも愛読と応援のほどよろしくお願いします。

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