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第25話 VSヨヨ・ガナルザンド

 魔物を倒すのっていいことなのか?

 俺はヨヨの話を聞いて少し自分の行動に疑問を感じ始めていた。

 人の害悪でもない魔物を、ただ自分の経験値稼ぎとして狩っていたというのに気付かされ、動物虐待だったのではと思ってしまう。


「倒さないとLvは上がらんだろ」

「それはそうだけど…俺のLv上げのためだけに無害の魔物を狩るなんて」

「んー。そんな考えになったことないからなー。お前牛とか食ってたんだろ?今更無害だからどうとか言ってどうするよ?スライムにだけ情が移る意味がわからんぞ。そんな難しく考えるなよ」


 ウジウジする俺に、ヨヨはバカなことを考えるなと言うのであった。

 今まで何も考えていなかったが、自分の食べてきた物も言うなれば人に無害な生物だったのだ。

 でも自分で殺したという経験は今回が初めてで、自分の利益のためだけにやったと思うと罪悪感で押しつぶされそうになるのだ。


「じゃあ、もう戦えんか?」

「……」

「呆れた勇者だな。なら……」


 自分のしたことに後悔し、うずくまる。

 ヨヨはそんな弱々しい俺には付き合っていられいと怒りを向けてくる。

 羽を広げ、距離をとり、そして


「流水の舞!」


俺の周りに水の渦を発生させ、渦中央にいる俺を水の刃が襲うのであった。

 不意をつかれ、ノーガードで水の刃に切り刻まれる。

 体が傷だらけになる。ところどころが切れて血も流れている。


 何がどうなっている?

 攻撃された?ヨヨから?何で?

 しかもアーツまで使って、どうしてだ!

 時間がたつにつれて体の痛みを実感する。俺は今ヨヨの攻撃をくらったのだと。

 でもわからない。ヨヨが何で急にそんな行動に出たのか。


 「何するんだよ、ヨヨ!」


 宙に浮いて俺を見下ろすヨヨに疑問を投げかける。

 するとヨヨは驚きの一言を口にするのであった。


 「お前が勇者として戦えんのなら死んでおれ。お前が死ねば女神が他の勇者をよこすだろうからな」


 ヨヨは俺を殺して新しい勇者が来ることを待つと言い出したのだ。

 ヨヨの目はついさっきまでの優しい感じとは全く違い、今まで向けられたことの無い、殺意に満ちた目で俺を見つめていたのだ。


 「本気で言ってるの?俺を殺して他の勇者を呼ぶなんて。そんな都合のいい話あるか?」

「ふん。他の勇者が来るかどうかなんてのはわからんが、お前がいても意味ないだろ。そんな覚悟で転生するぐらいなら大人しく死んでろ」


 ヨヨはそう言うと、また流水の舞を発動する。

 俺の周りに高速回転する水の壁が立ちはだかる。


 ヨヨは本気で俺をやりにきてる。

 クソ、なんで俺がこんな目に合わなきゃいけないんだ!

 俺は確かに情けない勇者だよ。

 でも殺されるようなことしたか?

 なんだよ、別の勇者に期待って。

 そんなんできるかもわかんねーだろ。

 クソが、ふざけんな!

 自分が情けないことは理解してても、ヨヨの行動は理解できない。


 このまま大人しく竜巻の中にいると本当に殺されかねない。

 流水の舞は俺の周りを取り囲んではいるが天井は空いている状態。

 俺は地面を強く蹴り、高く飛ぶことで流水の舞からの脱出を試みる。


 だが、竜巻から飛び上がり脱出するシエロを見たヨヨは次の手を打つ。


「逃がさん。雨霰あめあられ!」


 ヨヨは流水の舞を展開したまま、別のアーツ『雨霰』を発動する。

 ヨヨの叫びと共に、上空にはもくもくと黒雲が出現し、氷のつぶてが襲いかかる。

 氷のつぶてはジャンプする俺を流水の舞の中央に押し戻し、俺は四方八方をヨヨのアーツに塞がれてしまうのであった。


「そのまま大人しくしとけ。今楽にしてやるからな。上を見ろ!」


 ヨヨは空の黒雲に手を伸ばし、力をこめる。

 黒雲は水滴を凝縮させていき、どんどん大きくなっていく。

 その大きくなった水の塊は次第に氷結していき、流水の舞を上回る大きさの氷塊となる。


 あんなのくらったら本当に死ぬぞ。

 やばい、どうするどうするどうする。

 上に逃げるのは無理。周りの水は……ダメだ通り抜けられそうにない。


 絶体絶命の窮地に立たされたが、一つだけこの窮地を乗り越える策を思いつく。


「そうだ!黒スライム!」


 流水の舞を見ながら考え、黒スライムと出会った時のことを思い出す。

 策を思いついた俺はアーツを発動する準備に取り掛かる。


「黒スライムがなんだというんだ?まぁいい、行くぞシエロ!勇者として生きたいならなんとかしてみせい!!」


 ヨヨは力をこめた腕を地面に向かって振り下ろす。

 それと連動して空に浮かぶ氷の塊は俺に向かって落下していく。


「やるしかない。アシッド!」


 ヨヨの見えないところでアーツを発動させる。

 その叫びを聞き、氷塊を溶かして、難を逃れるであろうと思うヨヨ。しかし氷の塊にアシッドが放たれる様子は見られない。

 そして氷の塊は何一つ形を変えることなく、俺のいる場所へと突き刺さる。


「シエロ?……嘘だろ、おい!返事しろよ、シエローーー!!!」


 青白く光るスラ洞窟で、氷塊の砕ける音の中に、ヨヨの叫びがこだまするのであった。


はじめましてゴシといいます。

読んでいただきありがとうございます!

この話を読んで面白そうって少しでも思ってくださる方がいてくれると嬉しいです。

まだまだ話は続いて行きます。これからも更新して行きますのでブックマークの方もよろしくお願いします!


下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

応援されてると思うとやる気めちゃ出てスラスラ書いちゃいます。

これからも愛読と応援のほどよろしくお願いします。

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