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第24話 種族について聞こう

 俺は魔族と魔物の違いをヨヨから説明してもらう。

 ウレールに存在する種族は大きくわけると、人族、魔族そして魔物の3つ。

 またその3種族をもっと細かい分類に分けることもできるらしいが、話が長くなるということで、今回は大まかな説明だけ聞くことにした。


 人族は俺やユウリのような、江口軍太がいた世界ではごく当たり前に生活したら出会うような人間の姿をした生物のことをさす。

 元の世界との違いはスキルやアーツなど、様々な能力もを持っている人間もいるという点だけである。


 人族はある程度想像してた通りだったが、魔物と魔族に関しては俺の認識とはだいぶ違っていた。

 魔族とはエルフやドワーフ、ドラゴニュートなど、人族とは違う外見ではあるが、意思疎通がしっかりできる、人に近い生物であるのだ。

 そして魔物というのはスライムやゴブリン、ドラゴンのような、人族とは意思疎通ができない生き物を表しているという。


「つまり、話せるモンスターか話せないモンスターかってことで合ってる?」

「全然合ってねーよ。最後まで聞け。あと、そのモンスターって言うのやめろ。俺モンスターじゃないから」

「ごめん、つい」


 俺は昔の癖でついモンスターという言葉を使ってしまうが、ヨヨは自分がモンスターという括りにされるのに嫌悪を感じていた。

 ゲームの知識しかない俺は人間の姿じゃないものはモンスターだという考え抜け切れておらず、つい魔族であるヨヨを前にして魔物や魔族を化け物扱いしてしまう。

 ヨヨは俺の言葉に眉間のしわを寄せたが、まだ説明を続けてくれる。


 魔族と魔物の大まかな分け方はさっきの通りだが、話を聞けば聞くほどその2種族は俺の認識と大きく違っていたのだ。


 まず人族と魔族の関わりについて。

 魔族は基本的に自分たちの種族が繁栄することを第一に考える者が多いらしい。

 エルフやドワーフのような魔族は、自分達の種族繁栄のため、人族の技術や知恵を吸収したいのだ。

 そのため人族に対してかなり友好的。エルフやドワーフたちは人族から技術を学び、その恩として今回の魔王軍と人族の戦争では人族に加担しているのである。


「魔族は人と共存してるのか」

「そうだぞ。俺も雨を降らせて人に恵みを与える。それに対して人が礼として食物を分けてくれる。俺は人とは共存してる魔族って言えるな」

「魔族は人にとっていい存在ってことか」

「いや、そういう訳でもないぞ」


 魔族が悪いやつでないと認識する俺に対して、ヨヨはそれは違うと一蹴する。

 エルフやドワーフはあくまで一例であって、他の魔族が人族との共存を望んでる訳ではないというのだ。

 

 魔族は自分の種族の繁栄を願う。

 そのためならなんでもするのである。

 オーガやヴァンパイヤのような種族は基本的に他種族と交わることはせず、必要ならば他種族との戦争も辞さないのだという。

 現にその例に出した2種族は、人族を滅ぼす目的で魔王軍側に加担して人族と戦っているというのだ。


「魔族は基本的には自分の国の利益になることをするって感じ。まぁ、人間に近い感じはするな」

「ヨヨも繁栄第一なの?」

「俺か? 俺はそこまでリトルピクシーの繁栄のため! みたいな感じではないかな。雨降らせて飯食わせてもらってるだけだしな」


 ヨヨは魔族の中では変わってる方なのだと自分で言う。

 昔はリトルピクシーの一人として種族の中で生きていたヨヨだが、雨の守護神という役職になってからは一人で村々を渡り歩いているという。


 うーん、難しいけど魔族は外人さんってぐらいに考えればいいのか。

 元の世界でも人種間の友好とか戦争とかはあったんだし。

 

 「じゃあ、魔物は? 悪いやつ?」

 「悪いやつか。んー、そうだな……」


 魔族のことをなんとなく理解して思ったのは、ウレールの世界で人族の敵は魔物なのではと想像する。

 それを伝えるとヨヨは難しそうな顔をして、なんと説明するのがわかりやすいかを考えた。


「シエロは牛とか豚って好きか?」

「うん、肉は好きだぞ」

「そっか。ならスライムは好きか?」

「好きなわけないだろ。攻撃してくるし」

「そうだな、でも、食うと美味いぞ」

「そうなのか! ……ってなんの話してるんだ?」


 魔物の話をしていたはずなのに、ヨヨは急に好き嫌いを聞いてくる。比較対象がよくわからないが俺は率直な感想をヨヨに言う。

 するとヨヨは俺に、元いた世界の生き物の話をしろと要求してくる。

 今その話がいるのかはわからなかったが、俺は元の世界にいた生き物のことをゲームなどに出てくる架空のモンスターの話も含めて話す。


「……なるほど。シエロのいた世界ではスライムやドラゴンというものは架空のモンスターという位置付けなのか」

「ゲームではスライムやドラゴンなどは倒すべき敵って位置付けになるかな。オーガとかもそうなんだけど」

「そうか。ウレールとは全く違う世界なんだな。わかった、それを踏まえて魔物について説明するぞ」


 ヨヨは俺の話で腑に落ちたのか、ウレールにいる魔物の説明を、俺の常識との違いを踏まえて説明する。

 魔物とは元の世界でいうところの動物をさす言葉だという。

 俺が知っている牛、豚、鳥のようなものが魔物として分類されるというのだ。

 そして元の世界で架空と思われてたスライムやドラゴンも分類としては牛などと同じだと言うのである。

 ウレールの世界に生息する魔物は、倒せば経験値になるし、食料にもなる。

 食料にはならなくても、衣服や武器などの材料に使えるという。

 ここまでの話を聞いても俺は魔物は倒した方がいいと思っていた。

 しかしヨヨから言われた一言で考えが一変することになる。


 魔物はただそこで生きているだけ、敵意を向けなければ何もしてこない。

 俺たちは自分達の利のために魔物を討伐しているのである。


 これを聞いて俺は、スライムやドラゴンは人に対する敵であるという認識が間違いだと気付かされる。

 魔物は敵意を感じると身を守るために攻撃したりするが、それはただ生き物としての自己防衛反応であり、魔物から人や魔族を襲うことはないのだという。

 魔物は人や魔族の意思をなんとなくだが読むことができるらしく、スラ洞窟でスライムに攻撃されたのも、俺やヨヨの経験値をあげようとする戦闘意思に反応しただけなのである。

 つまり俺の考えてる、魔物が人々を襲ったり、世界を侵略しようとするということはあり得ないとヨヨは断言する。


 魔物とはただそこに生息しているというだけなのに、人や魔族の利益のために狩られる種族であると、ヨヨは15歳の俺に突きつけるのであった。

はじめましてゴシといいます。

読んでいただきありがとうございます!

この話を読んで面白そうって少しでも思ってくださる方がいてくれると嬉しいです。

まだまだ話は続いて行きます。これからも更新して行きますのでブックマークの方もよろしくお願いします!


下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

応援されてると思うとやる気めちゃ出てスラスラ書いちゃいます。

これからも愛読と応援のほどよろしくお願いします。

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