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友達と花屋_体調不良はよろしくない。

「はぁー…昨日は散々だったわ」

「何が?」


カウンターの後ろで作業していた手を止め、私は重い首を動かす。相変わらずニコニコして何を考えているか分からない神官…大神官様だ。

貴方のせいで私はこんなに困っているんですと思わず口が開きそうだ。


「いえ、なんでもありませんよ」

「そうか、なら良いんだけどね。あまりに深刻な顔をしていたから、体調でも悪いのかと」

…まさか原因の人から心配の言葉をかけられるとは。

「元気ですよ、少し考え事をしていただけです」

私がそう言うと顔を緩ませて良かったー!と言った。それよりも私の心配をする前に、この人は自分の方が体調が悪そうであるということを自覚しているのだろうか。


「お客様の方が顔色が悪くふらふらしていますよ、そんな無理して来なくても…」

この大神官…キュルス様はお店を訪れてから顔が青ざめている、しかもふらふらしてるし。

「僕が君に会いたかったんだよ」

この顔と髪色のおかげで体調が悪いせいなのか儚げに見える。しかも今日は色素薄めの金の長い髪を下ろしているのでなおさらだ。ちなみに長い睫毛の下に見えるのは緑の瞳。


「…会う前に体調を治してください」

私はカウンター前にいるキュルス様をぐいぐいと押し、店の奥の部屋に連れていく。

「え…なんだか今日はずいぶんと積極的なんだね!?」

「何馬鹿なこと言ってるんですか、早くそこのソファーで横になっていてください。」


心なしかすこしキュルス様の顔が青から赤くなっている。もしやこの大神官様、初心なのだろうか?

ちょっとだけ可愛く見えてきた。


「私は体調を回復する薬をつくってきますので、お客様は寝てくださいね」

私はソファーに寝かせたキュルス様を横目に花売り場とは別の草やら葉、茎、根を置いてある部屋に向かった。


「えーと、あっちの根と…葉を3枚、この薬草で…」

私は材料を探してからもう一度キュルス様の寝ている場所に戻ってそこで薬をつくることにする。


私はソファーの目の前に置かれている机に薬をつくる材料と道具をもってきた。

私はキュルス様に寝ていてほしいのだが、どうにもこの人は私の調理風景を見ているよう。


そんな中無心で私は手を動かしていると、ふと気づいたようにキュルス様が私に話しかけた。

「ね、フェリシアは僕のこと名前で呼んでくれないのか?」

「…うーん、お客様はお客様ですし」

「僕は花を売ってる人とは思ってないよ」

「じゃあ私はどういう風に思われているのですか?」


「それはもう愛おしい人だよ」

…絶対違うでしょう、

「私は何故貴方が私の事を好きになったのか分かりません」

正直どこをどう見てこのような身分の高い方が私を好きになるのか理解不能である。

もっと私より綺麗な人や、心優しい性格をしている人がこの人の周りには探そうと思ったら探せるはずなのに。

特に運命的な出会いをしたわけでもないし…。


「…僕は君に話しかける前からずっと笑顔でいる君が好きだったんだよ」

えと、かなりまずい発言を仕出したぞ、なんか頬を染めて乙女みたいな反応だけど、恋愛犯罪者と紙一重な発言は私の頭を混乱させるのには充分だった。

「え、いつ頃ですか?」

「えーっとね、半年ぐらい前からかな」

つまりこの人は私にほぼ半年恋する乙女みたいな感情を持っていたということだ。何故か雲行きが怪しくなってきたな。


「それで僕は友達の応援もあって2ヶ月前から求婚してたんだよ」

……きっとキュルス様のお友達も求婚の言葉から入るとは思ってもみなかったんじゃないだろうか。

「…お話を聞いてわかりました、しかし求婚されても私はまだ貴方をお客様だと思っているので」


「そ、そっか、」


「しかし!私はあなたの好意を無下にしたくは無いのであなたと友達になりたいです。どうでしょうか?」


「も、もちろんだよ!今までにないくらい幸せな提案だ!」


「そんな事ないでしょう。ちなみに私は男女の友情成立派なので全然このままでもいいですよ」

「僕はよくない」

「まぁ頑張ってください、ほら寝た寝た」

私は話しかけようとするキュルス様に薬を飲まして無理やり寝かした。その後私は花屋のカウンターに戻ったのだった。


✵✵✵

「フェリシア、僕仕事があるからもう行かなきゃ」

数時間寝たらしいキュルス様は奥の部屋から出てきて薬と感謝の言葉を述べた。そして、

「今日から友達としてよろしく頼むよ。僕のことはキュルスでいいし、敬語もいらない」

「分かった。こちらこそよろしく頼むわね」

そう言うとキュルスは満足したように花屋を出ていった、上機嫌で。


そうして私はまた仕事に戻った。


✵✵✵


僕は面会の時間が近く急ぎで神殿に戻った。

「おい、キュルス。数時間も仕事サボってどこ行ってたんだよ。」

前からやって来たのは僕の友達で同僚であるエリーゼだった。

「いつも僕よりサボっている君には言われたくない」

大神官のくせにほとんどの仕事を押し付ける友達に言われたくないのは当然である。

「まぁー落ち着けって。数時間どっか行ってたのは例の女の子とお楽しみだったのか?」

「そんなわけないだろう、友達になったぐらいさ」

「え、お前まだ友達にもなってなかったのか?」

「その話はいい、次はあの侯爵様との面会だ。仕事をしよう」

「お前真面目だなぁ」

「お前が真面目じゃないだけだ」

そんな言葉と共に早足で面会室へ向かった。

少しだけ進展しました!おめでたいですね!

ぜひお話よかったらブックマーク、ポイントお願いします!

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