侯爵様と花屋_そして珍妙な花々。
神官様が花屋を訪れた後、私はお昼休憩をしていた。
「ふー、仕事してからの紅茶は身体に染みるわー。」
店内のカウンターでゆっくり休んでいるとカランコロンとドアのベルが鳴った。
お客様かな?
「すみませーん、あと小一時間してから_」
「私だよ、マールさ!」
「どうしたの?マールさん」
お店に入ってきたこのマールさんはお隣で飲食店を営んでいる商況仲間であり、ママさん界隈の情報屋である。
私も時々知り合い価格で値引きしてもらって食べに行くことも多い、とても美味である。
「マールさん、紅茶準備しますね。」
「あぁ!ありがとうよ!」
私は紅茶の準備をしながらマールさんの話を聞く。
「フェリシアちゃん!今日何で王都が賑やかか知ってるかい?」
「あー、確かに今日はいつもより賑やかで人の通りも多いですね。何でしょう?」
「実はね、実はね!あの有名な侯爵様が隣国へお仕事へ行ってたんだけど今日戻ってくるらしいんだよ!!」
「え、その侯爵様って家名は…」
「スチュアード家の当主様さ!」
「うわっとと!」
「どうしたんだい?」
「あ、ちょっとびっくりしてティーカップを落としてしまうところでした。」
え、あの人連絡もなにも寄越さないで帰ってきたの!?いったいどこまで抜けているのか、もしかしたらあの神官様より頭がふわふわしているのでは??いやもうそろそろ帰ってくるかなーとは思っていたけどね!!
「まぁフェリシアちゃんが驚くのも無理ないね、まだ24歳の若い身で侯爵家当主様。しかも容姿端麗ときたら町娘だって一度は見惚れてしまうものだよねぇ。」
「…そうですね、侯爵様はウツボカズラのようなお人です。」
「ウツボカズラ?」
「はい。ウツボカズラというのは筒状のような植物なのですが、その中に甘い液体が入っており虫をおびき寄せてその筒の中に入らせ、出られないようにして虫を食べてしまうのです。」
「お、おぉ、独特な褒め方だね…」
「全く恋する娘たちはその虫のよう。」
あー、怖い怖い今まで何人落としてきたのやら。
「はい、どうぞ。今日の紅茶はラフレシアです」
「ラフレシア?あの刺激臭を備えた魔獣花かい?」
「えぇ、拒絶の森に入った際、そこら一帯の魔力を吸い尽くしたラフレシアが襲いかかってきたので花弁と蔓と種を回収してきたのです。」
「まったくその可愛い見た目と裏腹には慣れないもんだよ…。」
「花屋をやっているとこれくらいできて当然です」
「花屋の基準が1つしかないからすごいとしか言い用がないさ」
「そうゆうもんですかねえ、」
「そうゆうもんだよ。しかし、この紅茶ラフレシアなんて言うから独特なエグみでもあるのかと思ってたけど、美味しいねぇ!!」
「そうでしょう!ラフレシアは魔力核を壊した後でも刺激臭はなくならないのですが、種は刺激臭がせず一帯の魔力を含んでいるのでとても栄養があって甘さが凝縮された匂いがするのです」
その後マールさんとラフレシアの花弁と蔓がほしいと言ったので値引き交渉会をしていると__
「ん?なんだか外が騒がしくなったね?もしかすると侯爵様のお通りかもね。」
「外の騒がしい人たちはきっとほとんどが女性でしょうね。」
「フェリシアちゃん、ちょっと外に出てみないかい?きっとお綺麗な顔が見れるかもよ?」
「あ、すみません。もう営業を再開しないと」
もうマールさんと話していただけで1時間も経ってしまったらしい。
「そうかい。じゃあ私も真面目に働くとするか!」
そう言うと、笑顔でマールさんは紅茶のお礼を言ってお店を出ていった。ついでにお店のcloseの看板をopenに変えてくれた、すごく気が利く人だ。
「さーて、仕事しますか!」
✵✵✵
本日2回目の看板をcloseに変える。
現在夜。花屋が夜まで営業もどうかと思うが、仕事終わりのお客様が意外と買っていってくれるのでお店を開けている始末だ。
「今日はラフレシアの花弁を焼いてステーキにするか」
このラフレシア、実は活用法が沢山あったりする。なので色々持って帰ってきた理由はこれなのだが、何せ大きく重い。1m程度の花弁でさえ、本体に比べればほんの少しなのである。
カランコロン
何故か今日は営業時間外に訪れる人が多いな。
「すみません、今日は営業終了しましたー」
「おや、侯爵様の顔も見ずに酷いや」
「あ、…」
「久しぶりー!フェリシア、1年ぶりじゃん?」
まさかいつか来るとは思っていたけどこんなに早いなんて…1年たったというのにこの人は、悪い意味で変わらない。どちらかと言うと隣国に行ったおかげなのかチャラさに磨きがかかってしまった気がする。
「一発殴らせて」
「え??」
侯爵様が出てきました!いったい、フェリシアとどのような関係なのか気になりますね!
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