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神官様と花屋

「おはよう、フェリシア。今日は髪に花を挿しているんだね。とても似合ってるよ」


「ありがとうございます」


「結婚しよう」

「しません」


そうかそれは残念だ…と目の前で呟いているお客様は毎日懲りずにこんな感じで、求婚の言葉を述べてくる。

この方はこんな調子ではあるが、一応この国の神官様なのである。

毎日花を買っていく予算があるのも納得だ。


この目の前のニコニコしているお方かれこれ、もう2ヶ月も懲りずにやってくるのでそろそろ対応に面倒くさい。


「私はしがない花屋なので求婚しても無駄ですよ。お客様は花を売る人ではなく、花がある(・・・・)人と交流する事をお勧めします!」


「お断りするよ!あと上手な事言うねぇ。」


なんと笑顔で一刀両断された、驚きはしない。なれたからね…褒められたし、複雑だわ。


「あと《しがない》なんて言わないでよ、僕さ色々な場所に訪れたことあるけど、花屋なんて初めて見たし。」


そうなのだ。王都の花屋とかで有名になりつつあるこのお店、この国で1店舗しかない珍しいものになっている。正直国外にあるかも微妙…。


花屋、たったの二文字これを実現させるにはかなりの労働力が必要で簡潔にまとめてみると……


わざわざどこに何が群生しているか謎の花を採取しに行かなければいけないのだ!!


そこで皆様疑問に思う、魔法があるなら栽培可能では?ということに…

しかしここで大きな落とし穴。


花は何故か魔力と相性が悪く、魔法をかけれたとしても保存魔法のみ、そして消費魔力のコスパ悪し。


こんな感じで花は取れても、売っているのは私のお店だけになったというわけ。


「まぁお客様の言う通り花屋は私のお店以外はないですね。それで今日は何を買っていかれますか?」


早く帰って欲しいので私はさっさと経済を回す。


「そうだなぁー、フェリシアは何がお勧めかな?」

「私は…これですね、あなたにピッタリだと思います!」


私が選んだものは黄色のカーネーションである。


「黄色か!明るくていいね、これにするよ」


「単体か、花束どうしましょうか?」


「うーん、小さめの花束をお願いしようかな」


「了解しました!」


私が花をまとめている間すごく目線を感じる…。

まぁ、これも慣れました。


そして私が選んだ黄色のカーネーション、実はこの花言葉《拒絶》である、黄色のような明るい色が拒絶の意味を含んでいるなんてこのお客様は思ってもいないだろう。


それはそれで面白い、もし花言葉を知った瞬間のお客様の顔はとてもえげつない顔をしてくれると嬉しいものである。


「できましたよ。」


「ありがとう、また来るよー」


✵✵✵

「キュルス大神官様ー!!探しましたよ!」


「やーごめん、ごめん。」


お仕事の時間狭って焦りましたと言ってため息をついている僕のお付神官(部下)。


「さて、そんなディアンドレ君に問題です」


「げ、」

「この黄色のカーネーションの花言葉とは?」


「もうその無茶振りは通用しませんよ。」


そんな事を言った後、どこからか出してきた花言葉図鑑?を片手に黄色のカーネーションを探していく。

「あ、拒絶だそうです」




「そっ、そうなんだ、…拒絶、拒絶ねぇ…。」


少し間がたったあと、僕は結構大きなダメージを負っていた。なんかどんどん花言葉の意味、ひどくなってる気がするし… 


「うわ、そんな美しい顔で醜い表情されたら新しいものが完成するのでやめてください。」 


「はぁ、」


「でもよくこんな花言葉の花取ってきましたね。」

「どうゆうこと?」


「花ってその取りに行く過程によって花言葉を作るんですよ。群生地だって拒絶の森ですし」


拒絶の森…?あんな危険な場所まで僕にこの花を送るために訪れてくれたってこと…?


「え、好き」


✵✵✵

「ん?なんか悪寒が…風邪かな?」

「すみませーん、」

「はーい、どうしました?」


「彼氏と別れるときに髪に花をつけたいんですけどいいのありますか?」


「ありますよ!最近入荷した花で意味は拒絶です。」

「それいいですね!1本お願いします」


「はいどうぞ~」


「ありがとうございました!お金はこれで!」


今日私が初めてお店に置き朝神官様に渡した黄色のカーネーション、実は人々の別れの際に付けるのが人気で今日から花言葉がパワーアップしたものを入荷したわけである。


売上は向上、取ってきて良かったー!


___2人とも多大な勘違いが起きていることもつゆ知らず。

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