表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺から掴み取る、自由でおいしい毎日  作者: KAY
第二章 王都ザイオン編
67/78

魔道具店

高級店が立ち並ぶ4番街の中でもひときわ立派な建物、魔道具の店。

俺たちはその店の前に来ていた。


男爵以上の貴族か、または伯爵以上の貴族からの紹介状がなければ入れないと、以前あきらめた店である。


手には陛下から発行された国王符。


この国王符が紹介状代わりとなり、この店への入店が許可される。

この店だけではない。


貴族専用の王都のタウンハウスを借りることができる、有料で。

貴族専用の馬車も借りることができる、有料で。

貴族専用の保養地を借りることができる、有料で。


「これって何か功績をあげた人にだけ発行されるんですか?」

俺の素朴な疑問に

「いや?貴族と同じレベルの資産家にはだいたい発行しておるぞ」

と事もなげに答える陛下。


………………。商魂たくましすぎるだろう、王室。

「貴族専用」とはなんぞや。


伯爵が発行したものは伯爵符。

侯爵が発行したものは侯爵符。

公爵が発行したものは公爵符。

ということは、国王符って最高レベルだよな。


「何が違うんですか?」

「なにも違わんぞ。金額でサービス内容が変わるが、発行符では何も変わらん」

がっくり。


貴族が利用する場合でも有料で、金額も同じなんだとか。

驚いたことに、国王が利用するときも同額を支払うそうだ。

いやぁ、ドライな民間企業そのものだな。


税金だけの収入に頼るより、富裕層相手にきっちり商売をするこの姿勢の方が、断然俺好みではあるが。


保養地もあるのかぁ。ちょっと興味あるな。

温泉あるかな?


でも今は、目の前の魔道具店だ。

せっかく魔法のある世界に転生したのに、誰かがファイアーするのを見たことはないし、魔道具も限られた一部の人が所有するだけだからほとんど目にしない。

目の前で他人の魔法をほとんど見たことがないのだ。

リンと自分だけ。


この店にはどんなものがあるんだろう。ワクワクする。


ドアマンに国王符を見せると一瞬緊張した表情になり、すぐにドアを開けてくれた。

国王符だったからか、それともポケットのリンに気づいたのか。


サナとユナも緊張しながら俺の後ろにぴったりくっついている。

「私たちのようなものが入店してもよいものなのでしょうか?」


広い店内はアンティークショップのようで、様々なものが並んでいる。

入り口すぐのところで、一番広いスペースを取っているのはやはり武器。


一般の武器屋でも魔石入りの武器を売っているが、ここはきっと特別な魔石が組み込まれたものを扱っているのだろう。

国や各領の騎士団と思われる制服を着た人たちが武器を吟味している。


俺の魔力に合う剣はあるかな?

あったとしてもコーゲイさんが言うような最上級じゃなくて、キマイラ級の魔獣だと1、2回切りつけたら壊れるレベルのものかもしれない。

どっちにしてもコーゲイさんの意見を聞かずに買う勇気はない。


弓もあるけど俺は使わないし。

お!ナイフも魔石が組み込まれたものがあるんだな。

これは武器としてナイフを扱う人向けだよな。


その奥には生活用品が並んでいる。

魔石を組み込んだシャンデリア。

ろうそくやオイルだと大変な労力なので、お城に住む領主にはマストアイテムだ。

ド平民の俺にはまったく要らないけど。


シャンデリア以外にも壁掛けタイプやテーブルランプなど、様々な照明器具がある。

どうやら照明器具は魔道具の花形のようだ。

その中でテーブルにも置けるランタンタイプを発見。


「これ、いいね!」

「目の付け所がさすがでございますね。こちらは一つでベッドルーム全体を明るくします。持ち運びもでき、今一番の人気商品でございます」

店員に褒められた。俺もなかなかの目利き?


「リビングと寝室に一つずつ買おうか?」

「旦那様、お一つ8千ギルしますよ」

金額を確認したサナが青ざめている。

8千ギル!80万円?!

8千円で買えた前世が懐かしいよ……。


まあ、冒険者たちが命懸けで手に入れる魔石なんだから8千円はないか。

魔石を持つ魔獣がいるエリア、一度行ってみようかな。


「何年くらい使えるんですか?」

「毎晩利用される場合で約10年と言われています。魔石を交換すれば本体はずっとご利用いただけますよ。魔石の交換はこのタイプですと6千ギルです」

やっぱ、魔石が高いんだなー。


でも買うぞ!

まだ電気がないこの世界、これは欲しい!


「だ、旦那様、買うんですか……?」

サナが引いている。


「十年間、毎晩明るく過ごせるなら安いよ」

「安い……、8千ギルが安い……」

ユナがぼそりとつぶやいた。

う、うん、ちょっと俺も強がっているけどな。


よし、次はコンロだ。

魔道具といえばやっぱコンロだよな!定番の鉄板!

って、あれ?ない?


「コンロって置いていないんですか?」

まだこの国では開発されていないのだろうか。

「お客様はお耳が早いんですね」

いや?この国の情報なんて全然知らないけど?


「魔導コンロは昨年開発されたばかりでして、非常に人気が高いのです。入荷するとその日の午前中には売り切れてしまいます」

なんと!開発されたばかりとな!


「予約はできるんですか?」

しかしスマホどころか電話もないこの世界。予約は受け付けていないそうだ。


「入荷した日にいらっしゃったお客様、先着順でお売りしています。入荷日も不定期で事前にお知らせはできないんです。どうしても欲しいお貴族様は毎日家臣をお店に派遣している方もいますよ」

毎日見に来るなんて無理だー。

幸い俺は料理の作り置きができるし、コンロはいつか運よく出会えた時でいいか。


「まあ、七輪でぼーっとお湯を沸かす時間、俺、結構好きだしな」

私も好きです、その時間。サナが賛同してくれた。

便利とスローライフ、その両方を楽んで過ごせたらいいよな。


冷蔵庫などもまだ存在しないようだ。

いつかそのうち開発されるのを楽しみに待つことにしよう。


変わったものとしては、馬車を少し浮かせて重さを軽減する魔道具があった。

またその応用として、背負子を浮かせて重さを軽減する魔道具。

便利だなと思ったのだけど、意外と人気はないそうだ。

馬車は軽減しなくても2頭で引けるし、高い魔石を買えるような人は背負子を担いで歩いたりしないから。うーん、なるほど。


そしてありました、マジックバッグ!

「これは店頭に並んでるんですね。人気の品なんじゃないんですか?」

「飛ぶように売れるというものではありません。空間魔法と重さを軽減する魔法を重ね合わせているのでお高いのです。これを買えるような方は馬車移動が基本ですし」


なんてこった!冒険者の定番アイテムだと思ったのに!

確かにこの国は街道沿いに街が点在しており、金さえあれば飲み物、食べ物、宿泊に事欠くことはない。馬車移動なら多少の荷物は問題ないし、マジックバッグを買うより旅先で必要なものを調達したほうが安いくらいということか。むぅぅ、ロマンのない話だ。


「サナ、ユナ、これ二人に一つずつ買おうか」

なんてこと!

これ、おいくらだと思っていらっしゃるんですか!

サナとユナが倒れそうになっている。比喩ではなくマジでのけぞっている。


一つ3万ギル、300万円。うん、高い!

でもよく分からんブランドバッグに数百万円かけるより、ずっとロマンがあるぞ!


それに俺の買い物は基本的に重いものばかりだ。ワイン箱買いとか。

「これがあれば俺留守中でも買い物を頼めるだろ?醤油とか米とか重いものもさ」

「いえいえ、こんなお高いバッグがなくてもお買い物しますよ」

「重いものでしたら何往復でもいたします」


きっと少しの手数料で配達もしてもらえるだろう。

ってそういう話じゃないんだよ。堅実路線、はんたーい!


「これは二人の仕事道具。買うことは決定!」

サナとユナにジト目で見られちゃったよ。喜んでくれると思ったのに。


ぶつぶつ言いながらも、サナはスズラン、ユナはヒマワリの刺繍の入ったマジックバッグを選んだ。肩掛けの小さめショルダーでかわいい。

この中に背負子4つ分の荷物が入るなんて、ワンダーじゃないか!

時間経過は通常だけどな。


最後にヨヒトへのプレゼント、新鶏舎に取り付ける魔獣除けの大きな魔石2万ギルと、サナとユナに魔獣除けの小さな魔石が付いたネックレス1万ギルを買って今日の買い物は終了。

サナとユナが今日何度目か、倒れそうになっていたが。


合計10万ギル以上の買い物だったが、先日マッドブルなどを買い取りに出した金額より安いくらいだ。俺の金銭感覚、崩壊の一途……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ