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底辺から掴み取る、自由でおいしい毎日  作者: KAY
第二章 王都ザイオン編
41/78

大家族x2

昨日は更新できませんでした。

「ヨーク兄、お昼にトウモロコシ茹でるってー。取りに行こ!あれ?お客さん?」

「ダン、カイトだよ。母さん!みんな!カイトが来たぞ!」

クリストフとヨークの小さな家から両親と弟妹合わせて6人がぞろぞろ出てきた。

8人家族か。この小さな家で!


「ベレン兄、シモン兄、誰か来たの?」

「なになに~」

「わぁ、おっきい犬!じゃなかった、ベレン兄が言ってたフェンリル?」

隣の家からもぞろぞろと出てくる。祖父母と両親、弟妹、全員で7人。

こっちは9人家族か!


2家族合わせて17人。ちょっとした村の規模だ。


「こんにちはー。カイトって言います。この子はリンです!」

ちょっと声を張り上げて自己紹介。

「リンだよー」


うわぁぁ!しゃべったー!!

リンの挨拶に反応するみんな。


「ベレンとシモンが世話になったと聞いてます。ありがとうございました」

「遊びに来てくれるかもと聞いておりましたが本当に来てくださるとは」

ベレンとシモンの祖父母から挨拶される。


「うちの息子たちったら帰ってきてからあなたの話ばかりなんですよ」

「母さん、やめろよー」

クリストフとヨークが照れている。


みんな着古された服を着ており、この国ではよくある貧しい農家だろう。

しかし、やさしさと笑顔のあふれる家族であることがよくわかる。

いい家族なんだろうなぁ。


「よろしければみんなでお茶にしませんか?」

俺がそう声をかけ、2軒の家を見せてもらう。


土間にはかまどと6人掛けほどのテーブル。その奥に小さな部屋が3,4室。

家族全員で一緒に食事をとるのも厳しい広さだ。

どちらかの家で18人全員集まってお茶をするのは無理にもほどがある。


「天気もいいから外で食べようぜ!」

いいね!それ。


とはいえ、土の上に座って食うのもなぁ。

よし!丸太でベンチと机を作ろう!

「斧、借りられる?」


斧を借り、太い木を探して森の中へ入ると、2家族の弟妹達が興味津々でぞろぞろとついてくる。小学校か!

当然、4人の兄たちも見物だ。


いい感じの木がいっぱいあるある。

子供たちに少し離れてもらい、斧を一気に振り下ろす。

久しぶりに刀剣の魔力の出番だ。忘れそうだったぜ。


太い木がスパンと一気に切れて倒れると、「おおぉ~」と歓声が上がった。

いい反応だねぇ。


気分よく木を切り倒し、いい長さに切り揃え、座面とテーブル面を作っていく。

あっさりと簡易ベンチやテーブルが作られていく様に、弟妹達は大興奮。

「すげぇ、兄ちゃん達よりすげぇ」「はやいねぇ」


完成した丸太を収納にしまう瞬間、そして家の裏に再度取り出す瞬間は興奮度MAX。

「重いの、運ばなくていいんだ!」「ずるい!」

すまん。しかしお兄さんは12年間ボロボロになるまで運び続けたんだからいいだろ?


あっという間に2家族全員が座れる丸太のベンチと、同じ高さの丸太のテーブルが完成。


さすがにこの人数分のアイスティーの作り置きはない。

お湯をもらってお茶を淹れ、無糖とはちみつ入りの2種類のアイスティーを作る。


グラスは10客だけだから、大人だけだな。

子供と俺たちは木のマグカップ。

それぞれのグラスとマグカップに氷を入れ、紅茶を注ぐ。これには大人たちも興味深々。

「夏に氷ですか?」「すごいですね!」


氷の入ったアイスティーのグラスを太陽にかざし、大人たちはため息をついた。

「きれい……」


子供たちは、はちみつとミルクの入ったアイスティーに首をかしげている。

「これなぁに?」

「はちみつこうちゃだよ!」

得意げにそう答えると、リンはポンっと小さくなって丸太のテーブルの上に乗った。


「ちっちゃくなった!」「かわいい!」

「えー、大きい方がかっこいいのにー」

妹たちと弟たちでは意見が分かれるようだ。


「あと、これはケーキだよ。召し上がれ」

トレーいっぱいに乗ったケーキを出すと今日一番の歓声が上がった。


「なにこれ!きれー!」

「すっごーい!」

「これはお貴族様が召し上がるものだろ?ありがたや、ありがたや」


「カイト、うちの家族はクッキーですら年に1度食べるか食べないかだ。ケーキなんてとんでもないよ」

「あ?ダメだった?」

「いや、ダメじゃぁないけど……」

クリストフ、どっちだよ!


でも弟妹達のこの反応を見た後で引っ込められないぞー。

結局大騒ぎしてケーキを選び、アイスティーと共に一緒に楽しんだ。


「おいしーね」

「おいしーでしょ?」

ここでもドヤ顔のリン。うん、まあ、リンが稼いだ金で買ったケーキだな、確かに。


そうしてケーキとお茶を楽しんだ後は……

「リン、お待たせ!バーベキューしよう!」

「バーベキュー!」


「じゃあ、我が家自慢の野菜を採ってきましょうかね」

「トウモロコシ!」

「いいわねぇ」


大人の手がたくさんあり、火を起こすもの、野菜の準備をするもの、肉を切るもの、あっという間に準備が進む。

「なあ、キマイ……」

「それはやめろ!」

え?なんで?


「紅茶とケーキに続いて、そんな高級肉を出されたら、うちのじいちゃんとばあちゃんは「思い残すことはない」とか言って今夜にでも昇天しちまうぞ!」

ベレンの力説でキマイラの肉を引っ込める俺。


ということでキマイラはやめ、牛とボア、鴨の肉に加え、ソーセージやベーコンを出して串に刺していく。

その作業をシモンたちに任せ、俺は七輪で炭をおこし始めた。

ホタテのバター醤油焼きを食いたい。


収納から新鮮な海鮮を取り出す俺に驚く大人たちと、首をかしげる弟妹達。

「なあに?これ」


海を見たことがない子供たちにはなじみがないよな。

初めてならぜひ食べてもらいたい。

だけどまあ間違いなく、子供たちはソーセージの方が好きだろうな!


そこからは18人と一匹で大騒ぎのバーベキューだ。

リンは久しぶりのバーベキューで、大興奮してひたすら肉に食らいついている。

まるで俺がちゃんと食べさせてなかったみたいじゃないか。

ちゃんと肉は食わせてたろ?


弟妹達にはホタテは少し苦みがあったようで、予想通りソーセージとベーコンに夢中。

大人たちは遠慮しつつも海鮮を焼いて幸せそうである。

「この村で海の幸が食べられるなんて」


そして、クリストフたち4人と俺は……、全部食う!

たこ焼きも、醤油で焼いたトウモロコシも、そしてもちろん肉も!


「いやぁ、久々のカイトのバーベキュー、うまかったなぁ」

「カイト、しばらくゆっくりして行けるんだろ?」

「狭い家だけど、雑魚寝して一緒に寝ようぜ!」


謙遜なしで狭い家だが、俺が12年間過ごしたボロ小屋よりもずっと立派だぞ。


「おもてなしもできないが、むしろご馳走になってしまったが、ぜひゆっくり滞在していってほしい」

両方の親からもそう言われ、遠慮なく滞在させてもらうことにした。


リンは子供たちと畑を走り回り、俺は家の修繕を手伝ったり、畑仕事を手伝ったり。

時々は狩りや薬草を摘みに行き、ほぼ連日のバーベキュー。


毎日楽しく過ごすうちに、あっという間にカリオテ村で10日が過ぎた。


「リン、悲しいお知らせがある」

「どうしたのー?」

ベレンの一番下の弟を乗せてリンが走ってきた。


「ジョージさんのパンがなくなった」


18人と1匹。

むしろ10日間よく持ったと思うよ。肉と野菜中心の生活だったからな。

しかしとうとう、パンがなくなった。


「ジョージさんのとこ、いく!」

迷いなくこたえるリン。

だよなー。


ザイオン滞在がわずか3日で、カリオテ村滞在はなぜか10日。

そして、こんなに早くメイダロンに戻ることになるとは。

かっこわりー。


ブリックたちに会わずにこっそりジョージさんのパン、買えないかなー。

小さな町だから絶対無理だよなぁ。


いずれにしてもさすがに長居をしすぎた。

そろそろ帰ろう。


「一度メイダロンに帰ってジョージさんのパンを入手してから、ザイオンに帰ろう」

あれ?帰る場所が多すぎてよくわからなくなってきたぞ。

ま、幸せなことか。


「おお!俺らも楽しかった!」

「俺らもそろそろ次の場所へ行こうと思ってるんだ」


「長い間、お世話になりました!」


「こちらこそ、いろいろとごちそうになっちゃって」

「リンも子供たちといっぱい遊んでくれてありがとな!」

「また、いつでも来てくださいね。息子たちがいなくても気軽にいらっしゃい」


二つの大家族に見送られ、俺たちは狭くて居心地のいいカリオテ村を後にした。

ザイオン編と言いつつ、ザイオンにいる時間が短い……。そしてこの後ようやく少し物語が動く予定です。

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