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底辺から掴み取る、自由でおいしい毎日  作者: KAY
第二章 王都ザイオン編
32/78

海辺の屋台

海に来たらまずはおいしいものを食べないと!

潮風を胸いっぱいに吸い込み、太陽に輝く水平線の景色を楽しむこと1分。

よし、満足!


ザイオンにはしばらく滞在するし、もしかしたらここに居を構えるかもしれない。

これからも何度も、それこそ何千回も海を見られるだろう。

それよりもリンが限界だ。昼メシにしよう。


「リン、お待たせ!屋台いこう、好きなもの買ってやるぞ!」

「やたい~!」

俺の言葉を受けてリンはポケットからギリギリまで身を乗り出した。

よく落ちないな、というレベルだ。


海沿いに立ち並ぶ店を吟味し始めた俺たちの後ろからヒューゴとスーザンがついてくる。「一皿分の胃袋をあけておいてくれよ。食わせたいものがあるから」


食わせたいものってなんだろう?

気になるけど、屋台からは暴力的にいい匂いが漂ってきている。

一皿分の胃袋をあけておく自信はないな。


目の前の店では大振りの手長エビが焼かれている。

エビの隣で焼かれているのはホタテ。これも大きい。


とその時、ホタテの上に店主がかけたのは、少量のバターと……、醤油!

その黒い液体は間違いなく醤油!


「いいにおい!」

リンもバター醤油の匂いは気に入ったようだ。


俺たちがガン見していることに気づいた店主が笑いながら説明してくれる。

「これは最近ザイオンで使われ始めた調味料さ。海のものとよく合うんだよ、試してみるかい?」


驚きすぎてとっさに言葉が出ない俺は、ぶんぶんと首を縦に振った。

味噌や醤油はこの国では広まらなかったと聞いていたけど、時代は変化しているらしい。収納から大皿を取り出し、エビとホタテを乗せてもらう。


「ヒューゴさんたちも食べますか?」

「俺らも好き勝手に食いたいものを食うから、気を遣わなくていいぞ。それが屋台のだいご味だ」

たしかに、自由に飲み食いしてこその屋台だよな!

そう言うヒューゴさんたちもちゃっかりホタテを2個買っている。

この匂いには勝てないよな。


あいているテーブルを見つけ、リンをテーブルの上に置いた。

他の店も気になるものだらけだが、まずはこれを熱々のうちに食わねば!


手長エビが1尾1ギル。ホタテが2ギル。

ビルケッシュ領に海鮮はなかったからこの世界の基準は知らないが、前世から考えたらかなり安い。観光地で買ったら1つ800円くらいするぞ!


いただきますもそこそこに食らいつく俺たち。

ホタテはぷりっぷりで、バター醤油との相性が抜群だ。

バター醤油を最初に考えた人は天才だな。


リンはエビを頭から殻ごとバリバリと食べている。

ちっちゃくてかわいいくせにワイルドだ。

まさかホタテを殻ごと食べるなよ。

慌ててリンの分のホタテを殻から外してやった。


「おいしーね。ボクおかわりする~」

「たくさんある店のまだ1軒目だぞ。他にもいろいろあるからそれを見てからだな」


とは言ったものの、エビもホタテもうますぎる。

「これ、市場でまとめ買いできるかな?」


「いくらカイトさんの収納でも傷むでしょ?海のものは足が早いよ」

スーザンさんに警告された。

ああ、時間停止付きの収納魔法が特別だってこと、最近ではすっかり忘れてたわ。


俺の収納は時間が経過しないことを伝えると、ヒューゴとスーザンは目を丸くしていた。「カイトさんは、噂以上の大物ね」

いや、収納量が大物なだけだけど?それに噂って、どんな噂だよ、こわっ!


しかし、午後は市場巡りにするか、ビクターさんにヘビを届けるか、悩むところだ。


「つぎ、いこー?」

リンはテーブルの上で立ち上がり、次を食べる気満々だ。

海の幸を気に入ってくれたようで俺も嬉しい。

「よし、次だ!」


次に見つけたのはスモークサーモンと野菜をトルティーヤで巻いたラップサンド。

これはスープと一緒に食べよう。

クラムチャウダーと魚介たっぷりブイヤベースの2種のスープを購入。

おっと、隣で売ってる揚げ物は魚のすり身だ。つまりはさつま揚げだよな。

チーズ入りとコーン入り、紅生姜入りもある。紅生姜があるんだ……。


選べなかった俺たちは結局全部購入してテーブルへと戻る。

持ち切れずに一瞬収納にしまい、席で次々と取り出す俺にヒューゴが呆れた。

「胃袋あけとけよって言ったのに、聞いちゃいねぇ」


「いぶくろ、あけとく?」

リンが首をかしげる。

「ヒューゴさんがおいしいものを教えてくれるんだって。おなか一杯になっちゃうとそれが食べられなくなるよ」


俺の説明で納得したリン。

「ここも、おいしいものだらけだねぇ」


だからと言って、目の前のおいしいものを我慢できるほど大人ではない俺とリン。

二度目のいただきますの後、がつがつと食べはじめた。


やばい、どれもうんめぇ!

ブイヤベースはにんにくとオリーブオイルが効いていて、魚の臭みはなく、うまみだけが凝縮されている。

スモークサーモンのラップサンドはシャキシャキ野菜とマヨネーズが抜群だ。

クラムチャウダーはゼットンさんのスープに引けを取らないおいしさ。

そしてさつま揚げ!これはまとめ買いして収納に入れておき、いつでもつまみたい!


「まあ、ザイオンの海鮮を気に入ってくれたんならいいか」

ヒューゴが苦笑いしているが、いやいや、この後おすすめ料理も行くよ!


大量買いした屋台メシをぺろりと平らげ、俺とリンは期待の目でヒューゴを見る。

「ヒューゴさんのおすすめ屋台、行こう!」「おいしいもの~」


「まだ食えるのか?ほっそいカイトとちびっこいリンがよく食うなぁ」

ヒューゴが呆れながら笑った。あ、やばい。久々にリンのほっぺが膨らんでいる。

「むぅぅ。ちびっこじゃないもん」

いや、今はどう見てもチビだぞ。手のひらに乗るからな!


「よし!じゃあ俺の一押しの店に連れていこう」


海沿いを歩くこと数分。

目当ての屋台にたどり着くと俺は思わず驚いて目を見開いた。

丸い小さなくぼみがある鉄板。

その上にある丸いボールを、店員が金串でくるくると回している。


これって、これって、たこ焼きだ!


竹の皮に6個並べると、その上にたっぷりとソースを塗り、青のりをふりかけ、鰹節をかける。焼きたてのタコ焼きの上で鰹節がおどっている。

うわぁ、うまそう!ザイオンに来て、ほんっとよかった。


「とりあえず6個入りを二皿ください!」

迷わず注文すると、その隣でヒューゴとスーザンも一皿ずつ購入している。


あいてる机を見つけて3人と一匹で座り、3度目のいただきますの後、たこ焼きをパクリと一口。あっちっち。

リンは熱さをものともせず、一個をまるのまま口に放り込む。

「おいしい!これ、おいしい!」


リン、熱さに強すぎだろう。

俺も猫舌なわけではないがこれだけ熱いとハフハフしないと食えないぞ。


やけどをしないよう気を付けながらほおばる。

うまい!まじ、うまい!

ソースも鰹節もいい仕事をしているが、なにより中に入った大振りのタコ!


夢中で食べる俺たちを見て、ヒューゴさんは満足そうだ。

「うまいか?やけどしないように気をつけろよ」


6個のタコ焼きは一瞬で消えた。

「俺はもう一皿食べるけど、リンも食べるか?」

「たべるー!」


これもリョージさんの遺産なのかな?

俺のなんちゃって先祖と化しているリョージさん。

ありがとう!

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