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タクティカルな魔王討伐のススメ  作者: サブ
第1章
14/32

13話 終わりとはじまり

「前線下げて!」


 敵の追撃は止まない。

 セメスたちの陽動部隊はすでに半分が削られていた。

 2体目、3体目、4体目のフクロウが指揮する他の集団からしつこい追撃を受け続けている。


 腕の立つ小隊長クラスの兵士たちが次々と倒れる中、セメスたちは周囲の森林をうまく使って簡易的な防御陣地をつくった。

 敵の移動手段は転送魔法、つまりワープだ。

 これ以上の逃走はずいぶん前に諦めた。


 残留型の魔法をトラップとして張り巡らせ、脆弱な地形は捨てて、低木が生い茂る尾根の上に兵を配置した。

 フクロウの放つ雷を、木々がある程度身代わりになってくれる。

 それでも兵力は確実に削られている。


 肝心のセメスは20名の遊撃隊を率いて、木々の隙間からゴーレムの背中に攻撃を叩き込んでいた。


 倒木を飛び越え、新たに転送されてきたゴーレムの脇腹を直剣で斬りつける。

 ゴーレムは派手に転び、後続の兵士が頭をツルハシで粉砕した。

 別のゴーレムがその兵士を殴り飛ばす。

 彼は遠くの木々をなぎたおしながら見えなくなった。


「オーラはなーにやってんだよおお?」


 セメスの悲痛な叫び。

 これを聞きつけた通信機を背負った兵士が、突然目を輝かせて言葉を返した。


「うわさをすればかもですよ!」


 近づけられた通信機からは、救出部隊の兵士の声がした。


「救出部隊より本隊へ。クレス様の回収完了、ただちに拠点へ帰還します」

「っしゃきたあ!本隊了解!こっちも南下して直接帰還するよ」


 待ちに待った報だ。

 セメスは陣地を死守している味方へ向き直った。


「この敵を倒したら全力で南下する!しんがりは俺の隊が務めるからある程度の隊列をキープしながら走って!」


 あと一仕事だ。

 倒木と舞い散る下草。

 荒れた森の中を疲れ切った兵士たちが力を振り絞って駆け抜ける。

 ゴーレムの群れの中にフクロウが見えた。

 刃こぼれしたツルハシで周りのゴーレムの銀のからだが削り取られていく。

 フクロウを捕捉したセメスと遊撃隊の魔導士たちは、後先を考えない威力の大きな魔法の連射でとどめを刺した。


「退却!」


 拡声魔法によってあたりに轟いたセメスの声。

 これに応じて、生き残ったすべての兵士たちが反転し、森の中へ逃げ去った。

 セメスたち精鋭のしんがりによって、敵は思うような追撃を許されなかった。





 『神速』のクレス・クーは満身創痍の状態で拠点まで運ばれ、本格的な治療のため、すぐに8キロ南の基地拠点ハブ・ステーションまで護送された。

 敗北した『勇者』を出迎えたハブ・ステーションに駐在する王国軍兵士たちの顔には、拭いきれない不安が現れていた。




 変革のときだった。

 この日を境に、王国の平和と体制は、大きく揺れ動いていくことになる。

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次章から内政、軍略、その他諸々要素をすこーしずつ入れていきます!!

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