二人目の少年兵
副団長のセイスと話していると、受付からもう一人誰かが訪れた。少年だった。これが僕が今成り切っている、本当の少年兵の方だった。
「俺がここに来たぞー」
と、何ともハイテンションな様子に一同は静かになった。
その少年は首を傾げた。
「あれ? 何か変な事したか…」
と、本当に分かっていない様子だった。
じっとしていた中で、ゴーシュがお腹を抱えながら笑い出した。
「ははは。何が俺だ。ただの少年兵が、そんなヒーロー気取りするとはっ。まだまだ、お子様だな。今からでも、やり直してくるか?」
ゴーシュは遊ぶのなら、学校に帰れと言っていた。正確には、軍学校などにだった。
「何が可笑しいのだ。俺はザリファー。軍学校で一番魔法が使えていたのだぞ」
と、その少年兵、ザリファーは反論した。
顔の表情も変える所からまだ、子供だった。
アイガンが立ち上がって、ザリファーの近くに行った。
「それを言うなら、ザリファー。俺達も同じ事が言えてしまう。ここは魔法師の第三騎士団だ。魔法が使えるのが当然と考えないといけない。団長は、宮廷魔法師。俺らには到底届かない地位にいる人だ」
僕はアイガンに、いや、魔法は使えないよ、と心の中で返した。団長と思われる人がいないだけで、彼らは結構好き勝手に言っている。それを僕がさせている訳でもあるのだったが。
元に戻った様子のザリファーが僕を見た。
「お前も少年兵なのか? 俺はザリファーだ」
「よろしく、ザリファー。レイです」
「おう、何でも任せてくれ。見た所弱そうだから、助けてあげるぞ」
と、僕の体を見ていた。
自分の魔法でよく戦っているので、分かりやすく鍛えていない。だから、当然弱いように見える。
「ありがとう」
と、僕は返した。
ここの騎士団は思いやりのある人が多いようだった。
奥の受付から今度は別の人が現れた。それは受付で見た受付嬢だった。
「あの…ここに来るはずの少年兵は一人なのですが。何故か、二人いませんか? 書類には、ザリファー少年兵だけなのですが」
人々の視線が一気に、自分を刺すのを僕は感じた。流石にここで団長と言いたくもなかった。ので、嘘を付く事にした。
「書類に載っていませんでしたか? どうしようかな…このままでは家への仕送りもあるので」
僕を見ていた受付嬢は、頷いた。
「それでしたら、そのままいてもいいですよ。丁度、人手不足でもあるので歓迎します」
と、何ともセキュリティーが緩かった。
頭を押さえたいのを我慢して、僕は笑みを浮かべた。
「よろしくお願いします。レイです」
何とか潜り込めたようだった。これなら、最初から演じなくてもばれかったかもしれない。




