表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/133

アレスから見た学園

 僕は話題を変えるためにもアレスに聞いて見た。この王立魔法学園では何を教えているのかが、気になったから。


 僕は劣等生であるが、アレスは人々から尊敬の目で見られる、優等生である。見える世界はどのように違うのだろうか。アレスなら余り人の事など、気にしないと思うけど。


「思ったのだけど、アレスは授業どうだったの?」


 僕の問いにアレスは暗い顔をした。

「面白くないよ、全然。こうレイと話す時の方が何倍も楽しい。そして、意味がありそうな感じがする。ただただ凄いと言われるだけの授業なんて、生徒に何を教えたいのだろう」


 僕はアレスの言う教室の景色を想像した。彼なら、幾ら褒められても嬉しくないだろう。でも、優等生と言われて嬉しいだけの生徒には、その声が気持ち良過ぎるのである。


「んー。自尊心とか?」

 と、僕は少しふざけながら言った。


「ははは。レイは面白い事を言う。本当に正しいと思うよ。魔法学園には必要のない事だけどね」

 そうアレスも笑い出した。




「具体的には授業で何をしたの? やっぱり、戦いごっことか?」


「戦いごっこって…それは訓練の授業だね。座学よりも、この訓練の方が多いと思う」


 それは戦闘用の魔法使いを集めるためであった。その人の力をひたすら、磨くために。現在この国は、戦争をしていない。だけど、魔物を狩る仕事があった。魔の森から溢れ出る魔物を駆除する仕事が。

 だが、魔法使いは一部の超エリートと呼ばれる者以外、余りいい職には付けない。なので、学園の中でも、既に人生を賭けた戦いが始まっている。


「訓練以外にも、実際に人と魔法で戦う、対人戦もやり始めると思う」


 僕はそこで自分がボコボコに倒されるのが、目に見えていた。大人しく倒されたりはしないけど。必ず無双してやる。そして、彼らの顎が外れるほど、驚かしてやる。




「レイは大丈夫? 対人戦。出たら色々やられそうだけど…」


「大丈夫、安心して。魔法の訓練でさえ大変だから」

 と、僕は笑った。


 アレスは僕の本意は分からないが、中にある自信を知ったようだった。

「なら、応援しているよ…レイ。何かあったらいつでも聞いてね。隣人…いや、友達だから」


 僕はアレスの気持ちをありがたく、受け取った。

「ありがとう。困った時にはちゃんと言うよ」





 二人で楽しそうにしていると、アレスが何かを思い出す顔をした。僕はそれが大きな何かだと、思った。

「どうしたの、アレス?」


「あぁ。言い忘れそうだった。先生が武闘祭がやって来ると言っていたよ」


 ──武闘祭? 戦う祭り…魔法学園で?

 と、僕の頭の中ではてなマークが現れた。


「何で戦うの?」


「それは当然、魔法だよ。レイ」


「そうか…」


 まだまだ実力を発揮出来る舞台が、用意されているのだと知った。それにあの謎の委員会、特別委員会も結構気になる。


「…レイって何か悪い事企んでない?」


 意外と察する友達のアレスが言って来た。僕は否定するため、両手を全力で振った。

「全然違うよ、アレス君。何も悪い事、する訳ないだろ」


 アレスが人差し指を立てた。

「一応言っておくけど、戦いは魔法だけだから。物を打つけたりは出来ないよ」


「何でアレスは僕が暴れると思うの?」

 それは凄く気になっていた事だった。


 アレスは一度、天井を見上げてから答えた。

「うーん。やっぱり他と違うオーラがあるからかなぁ。レイのように生き生きしている人は見た事ないし…教室でも皆、壁があるみたいで」


「…そうか」


 それは僕が予想していた答えではあった。この学園はどこまでも腐っているのかも、しれない。僕に言わせたら学園生活など、楽しみがなければ面白くない。学園だけが、自由に自分の翼を伸ばせる所だと思う。そして、先生はそう言う生徒を全力でサポートしないといけない。

 だが、それが出来ていないと一目で分かる。




 僕は勢いよく立ち上がった。下でアレスが驚いて、慌てふためくのが見える。

「なら、僕がアレスが楽しく過ごせる学校を作ろう」


 誰もが出来ないのなら、自分がやるしかない。自分がやらなければ誰もやらない。自分だけが出来るのなら、するしかない。何事も挑戦から始まると思った。幸い自分は、それを行える力を持ち合わせている。無詠唱魔法と言う自分だけの力を。


 アレスは僕の思いに頷いた。

「分かったよ、レイ。僕が君の全てを見届けよう。だから、頑張ってくれ。僕はいつまでも君の味方でいる」

 と、そうアレスは僕に宣言した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ