誰がための襲撃
突然、白煙で辺りが覆われた事で人々は警戒体制を敷いた。何が起きたのかさえ、まだ理解出来ないから。僕は年のために、辺りを魔法で探索した。すぐさま辺りから魔法を発動させようとする、反応を捉えた。何かを更に考える先に、僕は全方面のバリアを作った。
煙が薄れたと思われた直前に、遠方からこちらに向かって魔法が放たれた。先が鋭い、魔力の槍は広大的に空間に浮いていた。が、当たると思われる前に何かに当たって掻き消えた。
僕が何かをすると察していたジークは、さほど驚きを見せていなかった。が、僕は彼が剣を硬く握っている事に気付いていた。そして、その掌から無意識に雷が漏れそうだったのも。
一方、何も知らない近衛兵や、王様と隣に座る女性はいきなりの事に心から驚いていた。襲撃は予想されていたが、ここで大々的に行われる事は珍しいのかもしれない。剣を向いていた近衛兵は、更に襲う様子がないので、また剣を鞘に直していた。
一人の少年が白煙から現れるように、姿を表した。僕は彼がこれまで自分の事を嫌っていた一人だと理解した。きっとジークを心の底から信仰する、イカれた集団の一人だった。もうジークkにすれば、ただの足枷にしかならない。彼らはここでまだ何かをやらかしたいようだった。が、いかなる理由があろうと、していはいけない所を越してしまった。
僕らだけの時なら許される。だけど、ここではそれでは許されない人がいる。この国の国王である。その人物に剣を向けたのなら、反逆と思われても何も言い返せない。
「ははは。残念だったな、劣等生。お前は最後まで、誰も守る事さえ出来ないのだよ。それがこの国の王様だろうと、な。ここで己の未熟さを理解したらいいのだ。自分がどれだけ、出来ないなのか、をな」
と、力強く彼は吐き捨てた。
その目は完全に狂っている様子で、自分の言っている事の意味さえ理解していない。その言葉は彼が自分自身に一番言うべき言葉だった。
奥で少しずつ近衛兵が近付いているが見えた。きっと第一騎士団長による指示だろう。アレスはいつの間にか、安全な場所に移されていた。
勝手に喋れば、国王への不敬罪となれても可笑しくない。だから、僕は何も話さずただ少年を見つめていた。
何も理解出来ない、少年はムカついたような顔をした。
「おいっ、劣等生。この俺を無視するとは、最後に脳みそさえ腐ってしまったのか? ここに来い。そして、その無能さを全員の前で見せるのだ。全国民、ましては国王の前で恥を掻くといい。この俺が最後まで見て上げるからな。そして、最後にお前を巻き込んで死んでやるのだ。ーーこれぞ、万歳。魔法万歳。貴族万歳。劣等生には死の制裁を、与えよ」
と、最後は呪文のように繰り返した。




