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アレスと第一騎士団長

 ジークが試合に参加していない事もあり、アレスは瞬く間にどのような敵をも倒した。先程まで強敵を倒していた対抗選手を、雑草のように狩っていた。最初の頃のオーラとはよくなったが、まだ狩りをしていると言う状態は余り変わっていなかった。逆にそれがある事で彼は勝ち続けたかもしれない。

 もし、その力がなければ彼は以前のアレス・フェッツのままである。


 そして、今のアレスの腕にはトロフィーが置かれていた。国王から直接受け渡されるこれは、なんとも名誉なものである。彼の名前も王立魔法学園、そして、国中に広がると思われる。賢者の再来、アレス・フェッツと何度も言われるのを、彼は決して喜ばないと思うけど。

 仕方がないとしか、今は彼にしか言えない。困る事があるとしても、彼の未来は確定していると言える。犯罪に走らない限りは、誰からも必要とされると思う。どの道を選ぶかは、ジークと同様でまだ謎の状態だけど。


 よく考えれば。僕もまだ何も考えていない。特に力を見せていないので、魔法関連の仕事には就く事が出来ないと、目に見えていた。ギルドカードでも使えるけど、必要以上に相手を困らせるのは僕の仕方ではなかった。必要な分だけ稼ぐ、かもしれない。まだ、一切考えていない。考えたくないのかもしれない。





 武闘祭を優勝した、アレスは最大の特典があった。


 それが第一騎士団の団長と直接、戦う事が出来る。


 戦う人にすれば心から嬉しい事だろう。だが戦うのが嫌だったり、不正を本当に働いている人からすると、最悪な特典と言える。

 後から賞金は得れるとしても。


 だが、僕の心配は無駄のようだった。


 アレスはなんとも嬉しそうな顔をしていた。強者の象徴とも言える人と戦えるから。彼からすればもしかしたら、レイには勝てないと分かっているけど、騎士団長とさら何かを出来るかもと思っているかもしれない。


 一切目が振れている様子はなく、時めいているような目でアレスは騎士団長を見ていた。


 目前には、子供の憧れとも言える騎士団の制服をかっこよく身に纏った、男性。その腰から吊るされる剣だけでも、非常に価値が高いものと言える。


 魔力の応用が行えば、ただの枝ででも魔物は倒せるが、そう言う訳にはいかないだろう。騎士団長としてのイメージを維持する必要もあり、非常時にも使いやすいものがいる。途中で壊れたら、命の危機に陥る。それが魔物狩りと言うものだった。


 実際はダンジョンでも死者が出るのだった。僕らが行った所でも、誰も死んでいない訳ではない。


「よろしくお願いします」

 と、アレスが頭を下げた。


「うむ、よろしくな」


 騎士団長も慣れている仕草で、アレスに返事をした。



 二人は更に何か言う事なく、相手を見つめ始めた。



 始まったと気付いたアナウンサーが、奥で司会を進めていた。


「ーー武闘祭で優勝を果たした、アレス・フェッツ選手は、果たしてどうなるのでしょうか」


 その答えは本当に誰も分からない。


 そして、僕も分からなかった。

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