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面倒事

 冒険者ギルドでやりたい事を終わらせた事もあり、僕らは一度冒険者ギルドの外に出た。


 今思えば、学園に来てからろくに周りを巡った事がないのだった。ただ学園生活に忙しくしていると、そんな事をする時間さえない状態だった。だから、今回はそれを行う事にした。


 差別したい訳ではないけど、高位な貴族のジークと、普通の貴族のアレス。そして、所謂平民である僕、レイ。三人とも行く店は大きく違うだろうと、言う事で街探検は分かれて行う事にした。

 ジークとアレスならなんとか一緒に行けそうだが、僕は流石にそこには行けなかった。冒険者としてお金が十分あるとしても、平民であるだけで不当な価格を示される事もあり得る。


 貴族に取ったら、凄腕の冒険者であったとしてもお金で働かせる事の出来る、駒としか思っていない人が多い。だから、ジークやアレスなどの考え方が極めて珍しく、異例であった。


 なので、僕といる事で彼らが被害を被る可能性もある。たとえそれを気にしないとしても、家の信頼にまで影響する事も考えられる。貴族は相手の足を引っ張り合う時もあったから。




 そんな事で、僕は今一人でいた。丁度、行きたい場所は決めていたので、それもそれで動きやすい事だった。出来れば故郷にいる、弟に何か王都らしいものを送って見たいと思っていた。

 故郷では僕が色々魔法で作れていたけど、実際のものとは結構違うと思う。そう言う違いも彼には、味わって欲しかった。まだ、小さくて外の世界には余り出られないとしても。



 歩いていた僕は後ろを振り返った。何か先程から、近付いて来る足音を耳にしていたから。普通に歩いている様子ではなく、こそこそ尾行しているのだと見て一眼で分かった。それもその道のプロではなく、ただチャレンジして見た素人。それも、冒険者ギルドにいたと思われる、冒険者の一人だった。


 その目は何か悪い事を考えているようで、口元を歪めている。何かネズミのようだな、と僕は少し考えていた。相手は最初から剣の柄に手を置いている。僕を始末か、言う事を聞かせたい人であると、すぐに分かった。何か運が悪く、よくない事に巻き込まれたと知った。


「あいつらは貴族様のようだが、お前は平民だ。だから、俺様が好きなようにしても誰も気にする事はないのだっ」

 と、なんとも酷い考えを展開していた。


 そこまで悪い倫理を思い付く方が、可笑しいとも思える。


 僕は彼をゆっくりと見返した。

「僕は冒険者登録をしたが、それについては何も恐れないのか?」


「そんな初心者で生意気な奴など、邪魔でしかないのだ」

 と、止める様子はない。


 駄目だな、と思った僕は一瞬にして魔法で、その冒険者の動きを封じた。


「くそっ。何をするのだ。俺を邪魔するなど、そんな事を許す訳ないぞ」

 と、叫んでいるが、一切効果はない。




 物音を聞いて、近くから人がやって来ていた。

 僕は人が来るまで、じっと待っていた。

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