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その剣を授かる者

 僕は赤の剣を直した後、白の剣を二人に差し出した。


「僕は赤の剣を持っている。だから、アレスかジーク。二人のどちらかが使ってくれ。もしくは、持っているだけでもいい」


 二人はどうしようかと、顔を合わせた。

 だが、ジークがすぐにアレスを見た。


「白の剣はアレスが持った方がいいと思う。何故なら、これから戦うためには今のより、強い剣が必要だろう。それに個人的にも、私はこれをアレスにあげたい。一緒にダンジョンで戦って来た仲間としてな」


 白の剣を取ると、アレスに渡した。


 アレスは一瞬動きを止めた。

「本当に貰っていいの? それを言うなら、ジークも強い剣が必要ではない?」

 と、貰うのを躊躇った。


「いや、いいんだよ。私のは、代々家から伝わる家宝だから。是非、受け取ってくれ」


 家宝を持っていると言う事は、ジークがアーネスト家の長男と言う事だった。彼は家宝がある事を理由に、アレスに白の剣を受け取って欲しいのだった。それに僕としても、それが一番いいかもしれないと思った。


「アレス。ジークがこう言っているから、貰ったらどうだ? 白の剣は綺麗で優しい心を持つ人には、本当の強さを見せると言われている」

 と、僕は知っている事を呟いた。


 僕らの思いを受け取ったアレスが、渋々頷いた。

「なら、分かったよ。ありがとう、レイとジーク。これからも大切に使うよ……でも、この剣、結構小さくない?」



 アレスの言う通り、宝箱に入っている剣は小さい。それは宝箱に入りやすいように設計されているとも言われているが、そのままでは使えない事は正しい。僕が貰った赤の剣も、掌サイズだった。


「そうだな…何か知っているか、レイ?」

 と、白の剣を見ながら、ジークが呟いた。


 僕は白の剣を指差しながら、その疑問に答えた。


「それは魔導具でもあるのだ。所有者が魔力を流すと、剣が伸びると言う便利な機能付き」


 ある事に気付いたアレスが言った。


「と、言う事は長さの調整が出来るの?」


「うん。小剣と長剣だけど。使い慣れると戦闘中にも、長さを変える事が出来る。そして、アレスのような綺麗な心の持ち主が使うと、魔法効果が発動する。それも白の剣に相応しい、力だと思うよ」


 僕は赤の剣を持っているので、剣を切るごとにわざわざ爆発が起こる。でも、それを使う場所は結構限られていた。だから、今は使わず、収納魔法の奥に置かれている。その一方で、白の剣ならより賢い事をしてくれそうだ。


 アレスは嬉しそうな顔で、ジークから白の剣を貰った。


「ありがとう、二人とも。これがあれば、よりダンジョンを楽しめそう」


「それなら、よかった。そうだよな、レイ」

 と、僕にジークが話を振って来た。


「うん。これからもよろしく。アレスとジーク」




「思ったのだが、レイの赤の剣はどのような効果があるのだ?」

 と、ジークが小さく呟いて来た。


「切ると、爆発するのだよ」


「それは…まぁ。その剣を得る事が出来たからこそ、なのだろうな。でも、使い道ないだろう? 爆発して欲しくないものの方が多いだろう。ダンジョン以外で魔物を狩る時に爆発したら、狩りにならないだろ…売る部分もなくなる事だから」


「そうだよ。だから、使わないのだよ」

 と、僕は溜め息をしながら、答えた。



 幸い、魔物を外で狩る時に使ってないので、爆発はしてない。でも、一度ダンジョンで使い、自分に何かの部位が飛んで来た事はあった。それは魔物の血も肉も、辺りに撒き散らしていたけど。


「あの白の剣が、使える力を持っているといいな…」

 そうジークが言った。

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